薪を積む棚に蔓草冬支度（あ）

【今日の一枚】夜6時、車庫に積み上がった薪。

f:id:jijiro:20221105082716j:image
　9月に注文しておいた薪が届いた。明るいうちに来れば荷下ろしも楽だといつも思うが、なぜか暗くなってから来る。
　今回もそうだった。前もって奥さんからケータイに連絡をいただいていたが、到着が5時になるか6時になるかはっきりしなかった。
　主人に訊いてなるべく早くお届けにあがりますと言う。ということはこれは6時になるな。と読んだら果たしてその通り、6時近くになってトラックがやってきた。6時前に着くのは、それでも早い方。
　今回はご主人お一人だった。アルバイトらしい若い子はいなかった。
　その去年来たアルバイトらしい若い子は、着いてすぐにトイレに駆け込んだので、荷下ろしを手伝ってない。それで、手伝わないアルバイトは要らないとご主人が連れて来なかったのか、あるいはアルバイトの都合がつかなかったか。
　ご主人は他に仕事を持っていて(本業はピザバス屋さん)、その仕事の合間に薪を運んでくれる。きょうも恐らくはメインの仕事をやっつけた後に運んでくれたのかもしれない。それで配達が遅くなった。いつも暗くなって着くのはそのせいだ。
　薪は、薪を購入した人が現地から運んでくるのが普通。だが、ここは自前のトラックで家まで運んでくれる。車の運転免許証を持っていない私にとってはそれが好都合。だから薪は毎年ここにお願いしている。ご主人も奥さんも私の事情をよく知っていて運ぶタイミングを私の都合に合わせてくれる。何もかも至れり尽くせりで、ご自宅も近くだし(伊豆市)気軽に注文できるからとても重宝している。
　薪をトラックから下ろしながらご主人が言う。最近は暖房を薪ストーブにする人が増えているのだそうだ。えっ、そうなの？　減っているのなら判るが、逆に増えているってどういうこと？　増えている理由が判らない。
　薪はすぐ暖まるし、ストーブで煮炊きできるからいい。のだが、なにせ手間暇がかかりすぎる。煙突掃除は欠かせないし、薪の調達にも苦労する。私は薪ストーブを長く愛用しているけれど、正直言ってあまりお勧めしない。
　ここへ来て、青森の田舎で親父が薪ストーブから石油ストーブに換えたのがよく判る。石油ストーブなら、つけたらつけたままにしておけるけど、薪ストーブだとそのたんびに火加減を確認し、消えそうになったら外から薪を運んできてくべなくちゃいけない。ずっとめんぱってなきゃいけないから気を休めない。そんな手間のかかる暖房具ってない。
　年齢を重ねるごとにそれが苦痛になってきた。煙で喉をやられた洗濯物が干せないと近所の苦情で肩身が狭い。いいことなんてひとつもない。あえて炎を楽しむのじゃなかったら、悪いことは言わない。薪ストーブなんて、やめとけやめとけ。

【書】「訊責」じんせき（No.1,235）

f:id:jijiro:20221105082538j:image
　「責めとがめる。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「訊」は、言と、音を表す卂(しん)とから成る。
　「責」は、貝と、音を表す朿(し。主は変化した形。「せき」は変化した音。せめる意→刺・策)とで、金銭をせめ求める意。ひいて「せめる」意を表す。

【ディジタル画】『それから』四の五（No.675）

f:id:jijiro:20221105082240j:image
　平岡三千代が代助を訪ねたのはお金の無心だった。
　実は平岡には京坂でこしらえた借金があった。東京に戻ってもその借金を返す宛がない。それで「已を得ず三千代に云ひつけて代助の所に頼みに寄したと云ふ事が分つた」。金を貸してくれと頼みに三千代を代助のもとに送り込む平岡も辛いだろう。それを代助に頼まなければいけない三千代も辛いだろう。
　代助は、蒼白い顔をした三千代の行く末を案ずる。その雰囲気を画に表現してみた。
　今回使ったブラシは「水彩C1」というやつ。これは一度隷書体文字を書いたときに使ったことがある。「水彩C1」はディジタルで水墨画を描くのに向いているかもしれないが、普通の画を描くんだったらさほど使い勝手がいいとは思わない。癖がありすぎる。