いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

終活の準備万端天高し(あ)

研修旅行が終わった。 今回の研修旅行では得るものが多く、とても有意義なものだった。一方、時代が変わり、私がしゃしゃり出ることもなくなったことを痛感する旅でもあった。 もう醜い老体を晒すこともないだろう。老人は老人として、とっととこの世とおさ…

駒下駄のからんころんと薄紅葉(あ)

黒4ダム研修旅行2日目。 安曇野の水は冷たい。そして、きれい。そこに、ワサビ田が広がる。日除けの黒いシートで覆われた下にワサビが群生しており、その脇を清水が勢いよく流れている。自然そのものではなく、明らかに人の手によって栽培されているんだとい…

したたかに呑むや瀑布の男衆(あ)

夏祭りしゃぎり保存会の研修旅行に参加した。参加したのは私も含めて総勢13名。バスは公民館を早朝5時出発というところからして尋常じゃない。果たして研修慰安旅行とは名ばかりの、まるで祭囃子のようなやかまし旅行だった。 一日目の9/28(土)。たまたまこ…

好物は人それぞれに天高し(あ)

先日の「月見の会」では、名月がちょうど叢雲に覆われて、会が終わる頃にやっとその姿を愛でることができた。毎年のことながら、出るか出ないか、ほんとやきもきさせる月である。 あるスタッフの曰く、「今年はススキの穂が遅くて、探すのに苦労した」。 そ…

独り身の孤高の旅をあやめ草(あ)

芭蕉の説く「かるみ」をめざすも、なかなかそう簡単にはいかない。 身にまとう重たいものを脱ぎ捨てて、身軽になったところで言葉をひねろうとするが、ひねろうとすればするほどわけがわからないものになっていく。ことほどさように「かるみ」は得体がしれな…

何したいただ寝転んでいわし雲(あ)

今、食卓テーブルの一画が本に埋もれている。 読めば片付くが、読まないで積んどくだけだから一向に片付かない。散らかるだけ。 その中に模写の対象にしている本が4冊ある。 ①『東海道中膝栗毛』(小学館・日本古典文学全集)②『松尾芭蕉集』(小学館・日本古典…

旨しもの喰ひたし里の冬支度(あ)

今年のとうもろこしも終わりだとばかり思っていたら、どっこいまだスーパーの安売りカゴに並んでいたりする。衣の皮はだいぶ乾いてきているが食えなくはなかろうと思って買って来た。どことなく老人の肌のようでぱさぱさしてて艶がない。けど、覆っている皮…

すれ違ふ人遠ざかる秋思かな(あ)

移動スーパーの日。ほうれん草一袋を衝動買いした。 移動ワゴン車に集まった女性高齢者のひとりが「自分で料理するのって大変でしょう」と声をかけてくる。その人は、私がしがない独居老人であることを知っている。「まあね」と返して苦笑い。 買ったばかり…

朝夕に鳴く来し方や虫の秋(あ)

朝夕、虫の声をとみに耳にするようになった。コオロギが鳴く、何だか判らないが虫が鳴く。 夏から一気に冬になって、一体秋はどこに行ったんだという具合になりはしないかと心配していたが、この分だとその心配もどうやら杞憂に終わりそうだ。秋は秋として、…

詩人てふ職業はない夏野原(あ)

「詩人という職業はない」。 同人誌「詩人会議」今号から拾った。詩を書いて食っていける人間はいない、という意味だ。 詩人に限らない。詩人以外にだって言える。 好きなことをして、それで食っていけるならそれに越したことはない。が、世の中そんなに甘く…

短夜や絵本片手にわつはつは(あ)

「わははの会」から参加のお誘いがあった。 「わははの会」というのは、三島市の一般介護予防事業を行なっている団体で、そこに所属するタレントに、地元夏祭りの穴埋めを受けていただいた経緯がある。 当初出場予定だった地元高校生による和太鼓演奏が出場…

【書】『おくのほそ道』49(飯坂2)(No.1,908) 「短夜の空もやうやう明れば、又旅立ぬ。猶、夜の余波、心すゝまず。馬かりて桑折の駅に出る。遙なる行末をかゝえて、斯る病覚束なしといへど、覉旅辺土の行脚、捨身無常の観念、道路にしなん是天の命なりと、気…

名月は名月のまま叢雲に(あ)

きょう(9/17)は「中秋の名月」。この日のためにスタッフは手分けして「月見そば」「月見団子」「西伊豆ところてん」を用意した。 手分けして、とはいうものの、実際のところ私は何もしていない。ひたすら他のスタッフにおんぶにだっこの役立たず人間に徹した…

降る降らぬ知るも知らぬも雲の峰(あ)

昼前、雨がぱらっと来た。 霧雨だから大した降りにはならないだろうと思っていたら、下のグランドでグランドゴルフの練習途中で本降りになった。急遽後片付けして練習中止。 と、上に上がってきたら雨がやんだ。 雨が降ったかと思うとやみ、やんだかと思うと…

夏島の墓の線香たゆたへり(あ)

久々に神奈川の空気を吸った。約束の時間に今回は間に合うかと思ったが、間に合わなかった。さすが伊豆から片道4時間はきつい。 義兄からSNS連絡を受けた義母の一周忌法要である。神奈川・横須賀の地元のお寺で営まれた。 そこのお寺の住職さんと義兄は、む…

雨やんでしのぶの里の草いきれ(あ)

同人誌「詩人会議」10月号を模写していたら、武田いずみさんという方がエッセーを寄せていた。同人誌発行後の飲み会の席上、「相変わら詩が書けないとこぼしたら、(同席された)同人のsさんが『やめたら終わりよ! とにかく書く!』とカラカラ笑いながら言っ…

老人の憩いの山の秋暑し(あ)

きょう(9/13)市内山奥の運動公園で、グランドゴルフ大会が行われた。 一昨日、血糖の低下で気分が悪くなったことを心配してチームを取り仕切る親分が顔を出してくれた。電話を二度したけど、二度とも出なかったので心配して拙宅を訪ねたという。要らぬ心配を…

炎天を西行の旅辿りつつ(あ)

【書】『おくのほそ道』40(阿武隈3)(No.1,901) 「無下にこえんもさすがに』と語れば、脇・第三とつゞけて、一巻となしぬ。此宿の傍に大きなる栗の木陰を頼みて、世をいとふ僧有。橡ひろふ太山もかくやと閒に覚られて、ものに書付侍る。其詞、栗といふ文字は…

旅人の北へ北へと田植歌(あ)

グランドゴルフの練習を終えて、公民館に戻った。そうしたらそこで、低血糖の症状が出た。そうなった時のために薬局でブドウ糖を持たせてくれていたが、生憎そのときは持っていなかった。 病院では薬がこれまでより強くなったとは知らされていなかった。薬局…

古稀を過ぎなほ画や夜の金亀虫(あ)

70を過ぎてなおこうして生きている。そんなに長く生きるつもりはなかった。 毎日画を描いて、うまく描けた、いやまだまだだと独りごちながら晩酌を嗜む。 うまく描けたときの晩酌は旨い。逆に、うまく描けなかったときは不味い。 ゴロンと横になってほろ酔い…

どうでもいい中にぽつかり残暑かな(あ)

芭蕉から学ぶものはないかとその周辺をウロウロしている。 学ぶことはたくさんある。たぶん。ありすぎて絞りきれない。 何を今更この歳になって、と思うが、この歳になったから芭蕉なのだ。 若くして俳諧の宗匠となり、郷里の伊賀上野を立って江戸・深川に庵…

虫の音に目を覚ますことあるやなしや(あ)

時代が変わった。 そう感じたのは、青森の駅舎が見違えるようにきれいになったから。 先日の高校同窓会後に友達が町を車で案内してくれた。駅舎は、まるで六本木ヒルズのような、モダンなスタイルに再建されていた。 3階までは小綺麗なショッピングモールに…

玉の汗人間として生きること(あ)

どういうふうに文章を書くか、ということを考えながら模写している。 書き出しはどうで、それがどう展開されて、最後はどのようにまとめられるか。 ものを書く人は、事実をそのまま書いていない。それだったら機械に任せたり、今流行りの生成AIにやらせれば…

絵を描いて描いても描いても残暑かな(あ)

今、4冊の書籍を模写している。 『松尾芭蕉集』(小学館古典文学)・『東海道中膝栗毛』(小学館古典文学)・『詩人会議』(同人誌)・『オール讀物』(文藝春秋)の4冊。 これらがガラステーブルの一角を占領している。そこへiPad Proがぶん投げられている有様で、…

がたぴしと風呂場の窓や秋の虫(あ)

東京で暮らしている次男坊がひょっこり顔を出した。 三島まで新幹線で来て、そこからレンタカーで我が家に向かう腹づもりだったが、三島でうまくレンタカーを借りられなかったみたい。今どきレンタカー屋は、貸し出す車もないほど繁盛してるんだろうか。 前…

残暑まだ風呂場の窓の手暗がり(あ)

あれほど喧しかったセミの鳴き声がぱたりとやんだ。 どこ吹く風の台風10号は東海に抜けて熱帯低気圧となり、静岡に連日連夜の雨をもたらした。 先日、見るともなく見た狩野川は、濁流となって暴れまくり、富士山に向かって流れる。 普段は中洲になっている箇…

夏草やぴんぴんころりおころりよ(あ)

病院の定期検診。 病院から再三催促され、きょう、時間を作って検診を受けることにした。 結果、血糖値がべらぼうに跳ね上がりこれまでの最高値を弾き出した。 理由は判っている。薬を飲まなかったことと(薬は8月で切れていた)、飲み物が「麦茶」から「スポ…

花火見るデッキに遊ぶ子らもなし(あ)

毎日タイムラプス撮影をしていると、それでなくてもデッキの傷みが目に入ってくる。 このところの雨続きで、デッキもだいぶ傷みが目立ってきた。プラスチック製の踏み台に乗っかって軒下にカメラをセッティングしようとしたら、バランスを崩して階下の屋根に…

秋出水なすすべもなく濁りけり(あ)

『松尾芭蕉集』解説の続き。 「晩年の芭蕉が胸の内に抱いていた風雅の理想図を描いたのが『おくのほそ道』であるからには、それが旅の事実と相違したり、なかったことを付け加えたり、大胆な省略をしたりしている」。 これって、好き勝手に脚色して読者に面…