山本周五郎著『五辨の椿』(PDF版)読了。
文庫本をPDF化したので、「解説」も読むことができる。「解説」の著者は山田宗睦。
冒頭に「山本周五郎の作品ぜんたいのなかでも、ひときわめだつ個性を持っている」とある。
「ひときわめだつ個性」って何。
判らない。山本周五郎の他の作品を読み比べてないから、どういうところが「個性」なのか、よく判らない。
ただ判るのは、すごい作品だな、ということ。こんなの、とても書けません。でも山本周五郎賞をもらうためには書かないといけないんですよね。そう思うと、くらくら眩暈がして目の前が真っ暗になる。
読んで違和感を感じたことが一つ。それは、殺人現場に落ちている椿が「花びら一枚」と数えられていること。
先日も言った通り、椿の花は、付け根から塊でぼとりと落ちる。ところが、作品を読むと、どうもそんなふうに読めない。赤い花びらが千切られたように一枚だけ殺人現場に置かれるのだ。
これはおかしい。意図的にそうしているのかと思って注意して読むが、そんなのどこにも書いてない。結論、やっぱりおかしい。
庭の奥に椿と山茶花が並んで植わってある。椿はピンクの花を八重に咲かせ、散るときは、それこそ潔いほどに首から先をぼとりと落とす。一方、山茶花は花びらを一枚一枚惜しむように舞い散る。
その散り具合を比べても、作品に登場する椿は、私にはどうしても山茶花に思えて仕方がない。
【きょうの一枚】生しらすの佃煮。
敬老会の旅行土産に「生しらすの佃煮」をもらった。
今日はそいつをつまみに晩酌。
ひょいと箸で摘んでぐびッ。旨し旨し。
【書】「罰」バツ(No.1,534)
「刂(刀)と詈(ののしる意)とで、刀でおどして責めとがめる意を表す。」(『旺文社漢字典第2版』)
【ディジタル画】『彼岸過迄』松本の話九(No.974)
市蔵(須永)の母は松本の姉だが、実母ではない。そのことは市蔵も知っている。
家庭環境はなかなか複雑なようだが、その経緯を暴露した責任は自分にもあると思っている松本は、市蔵が卒業旅行に行くと聞いていろいろ世話をし、相談に来た姉を自宅まで送るが、準備万端な市蔵を知って一安心する。そして明る日は新橋へ見送りに行かなかった。
【昭和の風景】東海道五十三次「白須賀」白黒。(No.254)
白須賀宿は、元々は海岸近くにあったが、宝永地震と津波により大きな被害を受けたため、その後潮見坂の上の高台に移された。柏餅は白須賀宿の名物として有名。
【タイムラプス】令和5年9月19日(火)6:27〜8:39の伊豆長岡の空。32秒。