いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

満天星の花の裾から黒い猫(あ)

孫の疎開生活も10日目。その間、私はお兄ちゃんにパソコンとiPad Proを占拠され、下の孫娘には一世代前のiPadを占有される。

私は普段、iPad Proで絵を描き、もう一台のiPadで「たて書きコラム」に目を通す。孫が家にいるときは、そのどちらもできない。それが私のいささかのストレスになっている。

朝こっそり起きてブログの下書きをiPhoneで書いていると、早起きの孫娘が気づいて起きて、「じぃじ、寒い」と言う。それで薪ストーブに薪をくべれば、次はiPadのパスワードを要求する。占有したiPadでTikTokを見るのである。

孫は二人ともIPadのパスワードを知りたがるが、私は教えない。画面が途切れるたびに私にパスワードを聞きに来て、その対応がいちいち手間ではあるが、教えて取り返しのつかないことになるよりはマシだ。

TikTokを見ながらケタケタ笑っていたかと思うと、孫娘はそのうち「じぃじ、なんか飲みたい」と言い出す。これがお決まりで、私はインスタントココアをカップに入れ、手鍋で温めた牛乳を注ぐ。最近は私から先に「ホットココア、飲む?」と訊くようになった。

そうこうするうちに、お兄ちゃんが起きてくる。お兄ちゃんは起きてくるなりパソコンを陣取ってネットゲームを始める。対戦相手と何か言い合いながら、コントローラーのボタンをバシバシ打って、トイレに立つのも惜しいくらいに熱中する。言わなければ、歯も磨かないし顔も洗わない。「ほら、朝ごはんだよ、食べな」と言われてようやくパソコンから離れる始末だ。

子どもたちはそれぞれに何か熱中するものを持っていて、時に食事をするのも忘れるくらい没頭したりするものだ。なんでもいい、熱中するものがあればと世の親は言い、うちの子はサッカーに夢中でとか、歴史に夢中で、昆虫に夢中で、工作に夢中でと言ったりするが、どうもネットゲームだけは例外らしく、諸悪の権化みたいな悪者扱いをする。

ゲームばかりしていたら勉強する時間がなくなり、学校の勉強がどんどん遅れちゃうし、第一、目を悪くするよと親は忠告するが、ゲームにどっぷりハマっている子どもにそんな声は届かない。馬耳東風なのである。かくしてネットゲームは、親をして、一体この子の将来はどうなるのかしらと不安を抱かしめることになる。

一般論として、子どもが何かに熱中することはいいことと言えるなら、ネットゲームに熱中することだっていいことのはずだが、実際にはそうならない。なぜだろう。

それはたぶん、学校の勉強に直結しないからだろう。ネットゲームにいくら精通したって、それで学校の成績が上がるわけでもない。

でも私は、ゲームに熱中するお兄ちゃんを見ながら思うのだ。新型コロナウイルスの感染拡大で「緊急事態宣言」が全国に発せられた今、「最低7割、極力8割の接触削減」という政府の呼びかけに対して、全面的に実践協力しているのは、ネットゲーマーを含む不要不急の外出をしない人たちだということを。そして、今の世界的危機を脱する鍵を握るのは、もしかしたらこういう人たちであるかもしれないということを。

 

【今日の一枚】庭のドウダンツツジ(灯台躑躅)

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枝分かれする形が「燈台」(燈明台、または、結び燈台、燭台(しょくだい)に似ていることから「とうだいつつじ」になり、さらに次第に変化していって「どうだんつつじ」になったという。

また、白い花が咲きほころぶさまを満天の星に見立て「満天星躑躅」とも書く。

秋には葉が真っ赤に染まり、それはそれは見事です。

 

【タイムラプス】4月18日(土)6:58〜8:41の韮山方面の雨空。25秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10222648845111986/?d=n