『古代文字字典』金文編がそろそろ終わりに差し掛かってきたので、金文に代わるものを探していた。そこで出会ったのが「書と墨画のグラフ誌『墨』」だった。
『墨』は(株)芸術新聞社が出している大型グラフ誌で、とにかく写真が豊富。年寄りが晩酌を零すのにちょうどいい按配で写真が散りばめられている。活字だけだとさすがに疲れる。
『墨』は毎号特集を編んでいて、私が手にした『墨』では「百人一首」を特集していた。
写真構成のページには、定家「時雨亭」の跡が載っていた。それを眺めてはうっとりする。煙るような嵯峨野の景色だ。
若い頃はそうでもなかったけど、こうして年をとってみると、自然の風情がやたら心に染みてくる。四季折々の季節の移ろいを感じながら静かに酒を傾けるというのはこういうことなんだな。
年を取らなければ感じられない日本の自然を全身で感じることができている。なんて幸せなんだ。
この景色を確かめるためにここまで生きながらえて来たんだと思うくらいだ。
【きょうの一枚】蝉丸の一首。
藤原定家「小倉色紙」選にある。
雑誌「墨」の1986年新年号に載っていた。1986年号とはいかにも古い。今からざっと38年も前になる。
そんときは書に凝ってたのか、絵じゃなくて。
それにしても、よくこんな古い雑誌残ってたなあ。
小倉色紙とは、定家筆の小倉山庄色紙を略称したもので、百人の歌人の秀歌を一首ずつ書いたもの。
蝉丸の歌を書写した色紙ということだが、お手本は、第三句「わかれつゝ」が流布本と異なる。
当時は「逢坂」を「相坂」と書いた由。
古くは芸州浅野家に伝来したものらしい。雲母塗りの剥がれ具合をディジタル技術で復元することは、やってみたが難しく、主に書かれた書を臨書するにとどめておくことにした。
【書】「靈(霊)」レイ・たま(No.1,754)
巫(みこ)と〓(レイ。雨と下に口を三つ並べた形。降下する意。一説に、清らかな意)とで、神降ろしをする清浄なみこの意、転じて「たましい」の意を表す。常用漢字は省略形による。(『旺文社漢字典第2版』ディジタル版)
【ディジタル画】『倫敦塔』その30(No.1,194)
トマス・モア著『ユートピア』に出てくる木造帆船。人々はこれに乗ってユートピア探しの旅に出たのだろうか。
人々にとってユートピアとは、一体どんなところだったのだろう。
【昭和の風景】墨画(No.474)
絵手紙。「地域を守ってます」。
青色パトロール・カーに同乗して地域を巡回した。巡回していると小学生児童が立ち止まって手を振ってくれる。子どもたちは子どもたちなりに、地域に見守られていることを意識しているみたい。
そういう子どものときによくしてもらった体験が、やがてその子たちが大人になったとき新しい時代を生きる力として受け継がれていくのだろう。
【タイムラプス】令和6年4月27日(土)6:47〜10:38の韮山方面の雨空。28秒。
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