おはぎ二個三個四個と年つまる（あ）

【今日の一枚】森山の「おはぎ」。

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　道の駅「伊豆のへそ」へ出かけた。
　先日、市の観光文化課から私宛に封書が届いていた。で、雨は小止みなく降り続いていたけれど、広報を組長宅に配った後に話の種に出かけてみた。
　本当はごろんと横になって休みたかった。で、お断りの電話を入れたが、電話は呼び出し音が鳴るばかり。10秒、15秒、20秒、出ない、なぜ出ない。鳴りっぱなしの呼び出し音を聞きながら気づいた。きょうは土曜日。役所がお休みの日だった。出るわけねえべ。
　きょうのイベント案内を私に出したスタッフも、直接会場へ出向いたのだろう。普通は最初からそう考えるよな。
　それで、これは現地へ行くしかないと思い、もう一度濡れた雨合羽をハンガーから脱がして「伊豆のへそ」へ出かけた。
　駐車場はほぼ満車だった。さすが土日ともなれば天候に関係なく車で出かける人が多いようだ。透明のビニール合羽を着たスタッフからバイクの駐め場所を誘導反射棒で指示された。
　そこにはすでに大型バイクが一台駐まっていた。ナンバープレートを見たら県外都市の文字。この雨でも、バイクで遠くからやってくるんだね。東京よりもっと向こうだ。よほど濡れて走るのがお好きなようです。
　道の駅の入り口にスタッフらしい女性が二人立っていた。たぶんその方の一人が私に案内をくれた市の職員なのだろう。首から名札をぶら下げている。その方が2階へ案内してくれた。
　駐車場の車の数から推して、店内は相当賑わっていると読んだ。が、そうでもなかった。
　2階フロアーをぶらぶらしていたら、いちばん奥で手持ち無沙汰にしていたスタッフに、いいカモが来たとばかりに声をかけられた。「健康チェックしませんか？」
　テーブルには学校でさんざか見慣れた握力計が二つ置かれ、それと消毒液の入ったボトルが一本立っていた。これで手指消毒をしろというのだろう。
　「よかったらどうぞ」とスタッフに勧められるままに握力計を握ったら、出た数値が70代。がっくし。もう少し若い数値が出ると思ってた。知らずしらず体力は衰えの一途を辿っているということか。死期を待つばかりの老人に握力計を握らして何の足しになるんだろう。少しでも長生きさせて貯金を吐き出させる魂胆か。言っとくけど、私は金に縁のない爺だからね。
　私はどこか面白くないという表情をあらわにしていたのかもしれない。スタッフはそれと察したかどうか袋入りの歯ブラシをくれた。なにそれ、歯を大事にしてせいぜい長生きしろってか？　ますます苦虫を噛み潰したような顔になる。それで見かねてスタッフがもう一本歯ブラシをプレゼントする、わけないら。
　2階フロアーは面白いイベント目白押しと思いきやまったくその逆で閑古鳥が鳴いていた。あれじゃ、若者は誰も立ち寄らないべ。昔はそれでよかったかもしれないけど、今は通用しないって。Twitterで「つまらん」と一言つぶやくだけで客足はガクンと遠野君だから。
　階下に降りたら、有名な天城の「おはぎ」の出店があった。PayPay決済ができるという。小腹も空いていたし、買って食してみることにした。で、家に戻って食った。旨い。甘くない。これなら孫の口にも合う。
　渡されたチラシで店のありかを見たら、住所表示はいつも水汲みに行く途中だった。今度孫どもが伊豆へ遊びに来たら、天城まで足を伸ばしてみるか。鹿肉・猪肉のジビエよりいいら。

【書】「浮客」フカク（No.1,257）

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　「ゆくえの定まらない旅人。さすらいびと。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「浮」は、氵(水)と、音を表す孚(フ。かぶさる意→覆)とで、水の上に「うく」意を表す。
　「客」は、宀(家)と各(カク。いたる意)とで、家に来る人、おきゃくの意を表す。

【ディジタル画】『それから』八の三（No.697）

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　代助が家に帰ると手紙が届いていた。手紙の主は嫂だとすぐに判った。手紙は古風な状箱の中にあったからである。
　手紙には、二百円都合すると書いてあって、「御友達の所へ届けて御上げなさい」とある。
　「状箱」とはどんな箱か。全集の注解になかったのでネットに当たった。すると、「茶道具」と出た。私は文脈からてっきり手紙を入れる文箱だとばかり思っていた。
　ともかく、現代ではなかなかお目にかからないし、第一、今どき筆に墨をつけて手紙を書く習慣なんてないから、物珍しさも手伝って画に残しておくことにした。