渋柿の色夕照に色めけり（あ）

　前にサービスを受けていたケーブル会社から利用料金未払いの封書が届いた。
　そんなはずはないと、今年新たに乗り換えたケーブル会社系列のショップに問い合わせに出かけたら、担当のスタッフがお休みだった。のは、きのうの話。
　で、きょう改めて出かけたら、そのスタッフは出勤していた。が、他のお客さんの対応をしているところで、そのお客さんはそのスタッフと予約を取っていた方だった。
　玄関ドアに小走りで寄ってきた別のスタッフが言うには、当該スタッフに相談がある場合には、あらかじめ予約を取る必要があるとのこと。ならばとその場で予約を入れた。小走りで寄ってきたスタッフがそうしろと言うのでそうした。
　で、一旦ショップを出て本屋を梯子した。季刊誌になった『公募ガイド』を買い求めるつもりだった。
　1軒目にはなかった。次に回った2軒目にも置いてなかった。意外に需要があるんだな、これでなかったら諦めようと思って行った3軒目に、あった。
　それは、大型ショッピングモールにある本屋で、「ありますか」と告げたら、店員が書架から探して持ってきてくれた。
　あった。
　この手の雑誌をわざわざショッピングモールまで買いに来る人はいないのかな。モール自体には結構客がいたけどな。そうか、きょうは日曜か。
　ちょうど雑誌を手にしたタイミングで携帯ショップから連絡が入った。早速折り返し電話を入れ、急ぎショップに駆けつける。
　ショップに入ると、予約客から解放されたスタッフが飛んできた。そのスタッフにこれこれと事情を話す。そうしたら、前サービスの違約金が未納のままであることが判明した。
　届いた封書は違約金未納の通知だった。
　どうすればいいかと尋ねたら、コンビニへ行ってATMから紙幣を出し、硬貨ついてはATMから吐き出される紙片をレジの人に渡せばレジで受け取れると説明。
　私の携帯を操作してそう言う。なんたる手際の良さだ。テキパキテキパキ。そして、最寄のコンビニに走って言われた通りのことをすると、レジの若い人も心得たもので、私の差し出した紙片にバーコード読み取り機を当てて硬貨を渡してくれる。
　その一連の動きを目の当たりにして何もかもコンビニでできてしまう世の中になったことを改めて痛感した。そして、その現象を当たり前のように受け止める若い人がうようよいることに愕然とした。
　今の若い人たちは、私のような年寄りには理解できない「新人類」なんだと理解した。

　ああ、隔世の感しきり。

【今日の一枚】庭の渋柿。

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　庭の渋柿がいい按配に熟してきた。
　かつてはこれを軒下に吊るして霧吹きで焼酎を吹きかけ、甘い吊るし柿を拵えたものだが、今はその気がまったく起きない。枝にぶら下げたままにしておいてカラスに啄ませている。
　渋柿をそうすると、それはそれは甘い干し柿になるのだが、私はその干し柿を食さない。特に糖尿病の診断が下され薬漬けになってから食生活の範疇から真っ先に外れた。
　孫も食わない。食うのはカミさんだけ。いつ伊豆に来るともしれないカミさんのために干し柿を作る気がなかなか起きない。だから、放ったらかしにしている。
【書】「時中」じちゅう（No.1,216）

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　「どんなときにも調和がとれ、節度がある。<中庸>君子而時中ーークンシにしてジチュウす」（『旺文社漢字典』第2版）
　「時」は、日と、音を表す寺(し。ゆく意→之)とで、太陽のうつりゆき、「とき」の意を表す。
　「中」は、もののまん中をたて棒で貫いたさまで、「なか」の意を表す。転じて「あたる」意に用いる。

【ディジタル画】『それから』一の二（No.656）

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　門野(かどの)という書生は、代助のことを先生先生と呼ぶ。
　従来からいる婆さんと門野はとても仲がいい。主人の留守などには、よく二人で話をする。
　「いゝつもりだなあ。僕もあんな風に一日本を読んだり、音楽を聞きに行つたりして暮して居たいな」とは、門野のご主人に対する評である。先生の呼ばれる人は世間からそう見られているんだな。
　門野ならずとも、私も仕事をリタイアした暁には、そんな優雅な老後生活を夢見て居たんだがなあ。どこでどう狂っちまったんだろう。古希にもう少しで手が届く年になっても、毎日腰がふわふわしている。　