泡盛や唾して捲るコミツク誌（あ）

【今日の一枚】晩酌の皿と読みさしのコミック誌と。

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　孫と一緒に食事をしなくなって、晩酌にコミック誌が加わった。定期購読コミック誌をパラパラ捲りながら、晩酌をちびちび飲る習慣がついてしまった。
　朝飯を摂りながら一城主が朝刊を広げるのは、かつてはどこの家庭でも見られた風物詩だった。が、今はどうなのだろう。どこの家庭からもそういう光景は消えて無くなってしまった。
　それはスマホが普及したからである。スマホが一人一台が当たり前になって、食卓から新聞が消えた。今は、パパもママもスマホを片手に食事を摂るのが当たり前になっているのではないだろうか。スマホは、きょうはどこそこのお店で◯◯がお安いですよと余計なことを教えてくれるから、ありがたいといえばありがたいが、そこまでしなくてもよかろとうざくもなる。なんだか家庭の事情を覗かれているようで気持ち悪い。
　かくして一人一台のスマホは、これから世の中を知るだろう子の間にも普及し、友だち同士の連絡はスマホを通じてやり取りするのがとても便利だと知ってしまった。
　あれだけビールを旨そうに飲むCMをガンガン流しながら、「お酒は二十歳になってから」なんて釘を刺すのも同罪。打つ釘がとっくに錆び付いているのを知りながらビールは旨いから飲めと言う。飲めとは言ってないか。でもそんなの、若い子が我慢できるわけがない。あんなに旨そうに飲めばつい買って飲んでしまうでしょうが。そのことをお上は知っていて目を瞑る。
　それと同じように、スマホは便利だ、親子で契約すれば割引が効くといえば、誰だって買って買ってと親にせがむでしょう。そうして一旦買い与えると、勉強そっちのけでスマホいじりに走るのは必定。だってその方が楽しいんだもん。
　人間は自分中心に考えがちだから、自分が楽しければ実は家族なんてどうだっていいんです。だから、真剣な悩みも家族や学校に相談しないで、見たことも会ったこともない赤の他人の匿名に相談を持ちかけるんです。その方が相手も真剣に相談に乗ってくれるし(ふりをするし)、家族のように自分の日常をさらけ出さなくて済むから気が楽なんです。
　家族全員が集まれるようにリビングを大きくこしらえても、リビングに集まらない。集まってもスマホを手に携えている。親の忠告も上の空。終わればそれぞれ部屋に籠もる。そこに自分の世界がある。いや、そこにしか自分の世界はないと思い込んでしまう。それが怖い。　
　かくて家族は、自分にとってはうざいだけの存在になり邪魔なだけの存在になる。そしてそれが、愛憎裏返って悲惨な家族殺しに発展するのでしょう。

　【書】「段丘」だんきゅう（No.1,142）

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　「川・湖・海の岸に沿って、階段上に発達した地形。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「段」は、打つ意の殳と、音を表す〓(段から殳を取り除いた形。たん。耑の省略形。打ちおろす意→摶)とで、物の打ちすえる意を表す。鍛の原字。借りて、くぎり、わかちなどの意に用いる。
　「丘」は、小山が並んださまにかたどり、「おか」の意を表す。また、中央がくぼんだ丘の胃ともいう。

【ディジタル画】『坑夫』 24（No.582）

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　婆さんは、「自分」を獰猛な集団へ紹介するでもなく、「自分」が座れる席だけ示してとっとと階段を降りて行った。こういうときに後に残された連中の手持ち無沙汰は無論である。
　そこで「おい」と「自分」を呼んだ者がある。誰かは判らない。
　返事をしなかったら、「やに澄ましてるねえ」と、おそらく別の人から声がかかる。
「ねえ」の言い方は、「(澄ます)なよ」を倶利伽羅流(全集注解：ごろつき風)に崩したんだから甚だ下等である、と本文でも解説している。そのとおり。
　ここでふと、津軽の早口言葉を思い出した。「しゃべればしゃべったってしゃべられるし、しゃべねばしゃべねってしゃべられるし、どうせしゃべられるんだば、しゃべんねでしゃべたてしゃべられるより、しゃべってしゃべられたってしゃべられたほうがいいいって、しゃべってたってしゃべってけ！」
　(吉幾三もラップ調の歌で、この早口言葉の一端を披露していたが、津軽弁にまったく馴染みのない人は、一体何を言ってるんだからさっぱり判らないと言っていた)
　それでもしゃべらなければいけないときは、しゃべっておいた方が何かと都合がいいんだろうな。少なくとも「澄ましてんじゃねえよ」と言われるよりはいいかもしれない。
　今回もすべてConceptsで描いた。