今、文芸誌で『七階から愛をこめて』という柚木麻子さんの作品を模写している。
この作品は日本橋三越が舞台になっている。行ったなあ日本橋三越。今年は創業350年になるんだって。へええ。
デパート入口に巨大なライオンの像が横たわっている。子どもの頃この界隈でよく遊んだなあとは、今は亡き平塚の知り合いの弁。その方の案内でぶらり運河の旅を楽しんだことがあった。
模写をしながらそのときのことを思い出していた。
模写をすると、その作者の書く癖がよく判る。
例えば、直喩表現の「〜のような」という言い回し。いろんなことをよく知っているなあと思う反面、自分の感覚とかなり隔たりがあると感じたりもする。
「オルゴールに遺書を残すというやり方も、吉屋信子先生の世界のようで」という表現もそう。吉屋信子先生は文学全集に欠かせないほどの著名な方だけれど、これまで彼女の作品を読んだことがない。だからオルゴールに遺書を残すような世界のことは知らない。言われてみればなるほどと思えるが自分で使ってみようとは思わない。使えば腐臭漂う鼻持ちならない作品になる。あれは細やかな心配りができる女性だからできる技で、男の私には到底できない。無理です。
でも、勉強になります。模写はやっぱりいちばんの勉強になる。
【きょうの一枚】移動スーパー。
このサービスが始まってから、車に商品を積んで丘の上まで来てくれるのは今回で3回目。だいぶ浸透してきたようです。
「こんなサービスがあるなんて、皆さん知らないんじゃないかしら」。初回の人がそうつぶやいているのを耳にした。それで、今号広報にも移動スーパーのことを書かせていただいた。
こっちはサービスの立ち上げに参加した身ですから大よその様子は知っている。けど、毎週月曜に来てくれることをまだ知らない住人も結構多いんじゃないかな。今号の広報でうまく伝わるといいんだけど。
【書】「跡匿」あとをかくす(No.1,469)
「足跡を隠す。隠れて世に出ないこと。」(『旺文社漢字典第2版』)
「跡」は、足と、音を表す亦(エキ。セキは変化した音。続く意→繹)とで、次々と続く足あとの意、ひいて、物事のあとかたの意を表す。
「匿」は、匸(かくす)と若(ジャク。ジョクは変化した音)とから成る。
【ディジタル画】『彼岸過迄』停留所 二十九(No.909)
女は停留所で電車の到着を待っていた。電車がやってきた。電車から二人の男が降りてきた。
一人の男は派出所をスタスタ通り過ぎたが、もう一人の男は女の前へ行って立ち止まった。
電車から降りてきた男と、その電車を待っていた女とは、どういう関係なんだろう。
ここでようやく章のタイトルに「停留所」と付けられた意味が判った。
【昭和の風景】189
ライトノベル『スーパーカブ』の挿絵。
小説の作者はトネ・コーケン氏だが、挿絵担当は博氏。
少女が着ているジージャンの精細さに驚いた。この程度の芸当をケロリとやってのけるのがプロなんだろうな。それでなくても時間のない私にはとても真似できません。
時間がないこともさることながら、ここまでのめり込まないと他人様に見てもらえる絵は描けないということが、よく伝わってきました。
絵に限らず何にでも言えることだけど、プロへの道は厳しく険しい、ということですね。
【タイムラプス】6/26(月)7:32〜10:33の伊豆長岡の空。22秒。