図書館の大窓に春告げ来たり（あ）

【今日の一枚】市立図書館の書架。

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　この書架の手前にテーブルコーナーがあって、私はそのテーブルで『……手記』をノートに書き写している。
　今はコロナの影響かどうか、テーブルが、座って作業をする部分と荷物を置く部分が交互に設けられてある。だから、かなりゆったりしたスペースで作業できる。それがありがたい。
　ありがたくないのもある。
　新聞コーナーで新聞を読む人が、聞こえよがしに音をたててページをめくるのをやめてもらいたい。あの音が結構耳障りで仕方がない。昔は電車内で申し訳なさそうに新聞を折りたたんで読んでいた。あそこまでとは言わないが、それに近いスタイルで読んでもらいたい。あのときは音を立てずに読んでいたはずだ。

【書】「昼(晝)夜」チュウヤ（No.1,315）

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　「昼と夜。昼宵。日夜。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「昼(晝)」は、日と、畫(＝画。くぎる意)の省略形とで、夜とくぎった日の照るとき、「ひる」の意を表す。
　「夜」は、月と、音を表す亦(エキ。ヤは変化した音。かがやく意→晳)とで、月のかがやく「よる」の意を表す。

【ディジタル画】『それから』十六の四（No.755）

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　今回読んだところに、坊主頭の門野という書生が出て来る。門野とは代助宅に世話になっている居候だ。ご主人の雑用を主に手掛けるが、時に飯炊き婆さんの話相手になったりする。
　坊主頭は私が中学生だったときの髪型で、男の子はみな坊主頭に帽子をかぶっていた。それが当時の中学生のスタイルで、その時は何の疑問を抱くことなく、当たり前のように受け入れていた。全国の中学生はことごとくそういうスタイルだったのだと思う。
　髪型をうんぬん言うようになったのは高校に入ってからだ。当時はちょうど学生運動真っ盛りで、そういう中央の影響がコロナウイルスのように片田舎にも蔓延していたのだと思う。
　で、坊主頭で素敵な大人ってだあれ(チコちゃんみたい)と探したら市川海老蔵さんに行き着いた。歌舞伎役者成田屋の第十三代市川團十郎さんである。
　漱石描く書生・門野と市川海老蔵さんとは似ても似つかないが、当時夫人だった小林麻央さんの治癒を願って浅虫・湯の島の頂上まで願かけに登ったと知り、これも何かの縁と当時の海老蔵さんの画像を参照して描いてみることにした。

【昭和の風景】39

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　湯の島。青森市浅虫の沖に浮かぶ島。母校の中学校から毎日見てました。
　校舎の北窓を開けると、下にグランドが広がり、グランドの向こう脇を複線化されたばかりの東北本線が走る。その線路と並行して国道4号線が通り、さらにその国道を横断した海岸の沖に島がぽこんと浮かんでいた。それが湯の島。小学生のときから春夏秋冬描いていた。鉛筆でも、クレヨンでも、水彩絵具になっても飽かず描いていた。
　小さい時からずっと、お椀をひっくり返したような形の島だと思っていたが、この歳になって改めて描いてみたら、意外と扁平なのに気づいた。見る角度によって違って見えるのかもしれない。
　今、縁あって伊豆半島の真ん中あたりに住んでいる。住んでいるのは急坂を上った高台。その下を富士山に向かって狩野川が流れ、狩野川の西側にさほど高くない山々が連なる。山を愛する人々はそれを沼津アルプスと呼ぶ。そこに掘られたトンネルを抜けると眼下に駿河湾が広がり、その湾にこれと似た形の島が浮かぶ。淡島だ。
　淡島を見るたびに決まって思い出すのは湯の島である。故郷の海にもこんな形の島が浮かんでいたなあ。　
　湯の島の頂上には弁財天の祠があって、今から7年前の平成28(2016)年に当時の市川海老蔵さんが青森で歌舞伎公演した際、闘病中だった妻の小林麻央さんの治癒を祈願したと言われる。願い叶わず麻央さんは、翌平成29年に幼い子を二人残して還らぬ人となった。
　海老蔵さんのブログは当時からつとに有名だったが、私は密かに小林麻央さんのブログを読んでもいた。闘病生活を綴ったそのブログを読みながら、頑張れ頑張れと陰ながら応援していた。