台風の来るなら来いと欠伸猫（あ）

【きょうの一枚】近所の猫。

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　大型で強い台風16号が近づいているというのに、強まる雨風の中を、我関せずと私の前を横切った猫。
　というか、この猫はもともと車庫の暗がりにいたのを、私が車庫から追い出したのである。追い出したら、一旦は富士山の方向へすたこら逃げてホテルの植え込みに姿を消したのだが、すぐまた道路へ引き返してきて、傘と箒で両手が塞がっている私の目の前を足早に通り過ぎたのだった。どうだ、両手が塞がっていては手も足も出せまい、そんなしたたかな顔つきだった。
　それがどうにも癪に触ったので、傘と箒を放り投げて、ケータイカメラで撮ってやった。叱られて一旦は雨の中に勢いよく突っ込んだが、逃げた先は勝手知ったるホームグランドではなく、どうやらホームグランドは、富士山方面から私の家の前を通り過ぎた、もっと坂の上の方にあるというふうだった。逃げた先の居心地がどうもよくなかったらしい。
　こいつ、私が空き缶とペットボトルを捨てに車庫に行ったら、廃棄予定の洗濯機の上にいやがった。洗濯機の周りには、割れたコップのカケラとか、芯の切れた裸電球とか、ミニトマトを支柱に結んでいたビニタイが散乱していた。これらはケースに入れて台所の隅に置いておいたものだ。新しい冷蔵庫を据えるに当たって、ひとまず車庫の棚に置いておいたのだったが、猫がそこへよじ登ってケースごと下に落としてしまったらしい。
　これから片付けようとしていたのに余計な仕事を増やしやがってこん畜生目と、ムラムラ憎しみの気持ちが湧き起こり、反射的に「この野郎！」と一喝してしまった。そうしたら、こいつ、洗濯機の上からパッと身を翻して、一目散に雨の中に飛び出していった。
　で、散乱したコップの破片を箒で片付けて家に入ろうとしたら、富士山の方向からこいつがびしょ濡れの格好でやってきたという次第。

　人間てえ動物は、たかが台風ごときに何をそんなにあたふたしてるんだと、「名前はまだない」猫は不思議に思っていたかもしれない。

【書】「及門」きゅうもん（No.838）

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　「門人となる。転じて、弟子。一説に、任官する意。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「及」は、人と又(ゆう)とを組み合わせた形。又は手の形である。人の後ろから手を伸ばして前の人を捕らえようとする形で、「追いつく、およぶ(届く。達する)の意味となる。
　「門」は、両開きの扉の形。片開きの扉の形は戸。

【ディジタル画】バスケ・ジャンプシュートの攻防（No.280）

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　サイト「Unsplash」からダウンロードした画像をもとに描いた。これは昔ながらの描法だが、そこからちっとも進歩していない。
　いや、進歩はしていると思う。描くスピードが以前に比べてかなり早くなった。この程度なら、1時間あれば描ける自信がある。ただ、いくら早く仕上げても、誰も上手いとは言ってくれない。所詮は写真をなぞっただけでしょ？　というわけだ。
　でも、それでもいいんだ。ディジタル画というのはそういうもんだから。描きたい、描いて楽しければそれでいいと思っている。何せ、描き直しが簡単にできるところがお手軽だ。タブレットとペンシルさえあれば、アプリ使用料と電気代だけで済む。貧乏で暇が腐るほどある人には持って来いの玩具なのだ。ここまできたら、もう一生手放せませんね。　