いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

南山荘の湯

秦野へ出勤。秦野駅から乗るバスでは、いつも賑やかにお喋りをする中国人女性の三人組と一緒になる。今日は真ん中の人のスマホの画面を見ながら、会話を弾ませていた。どんなことを話題にしているのか聞き耳を立てたが、話し方が早過ぎてさっぱり聞き取れない。かつては、ラジオ講座で中国語を勉強したこともあったが、聞き覚えのある単語がほんの少し拾えるだけで、中国語が全く身についていないことがよく分かった。

職場前でバスを降りると、桜並木の蕾がぽつぽつと綻ばせていた。開花予報では、今年の神奈川(横浜)の開花は3月25日と出ていたが、今日はその翌日の26日。いよいよこれから華やいだ季節を迎えることになる。伊豆の狩野川さくら公園の桜はどうだろうか。昨日のFMいずのくにでは、ライトアップを始めたと言っていたから、三分咲きくらいにはなっているのだろうか。
午後2時前に三島駅から発車ベルを聞きながら駿豆線に飛び乗る。普段なら、この時間帯は余裕で座席に座れるのだが、今日は大きなバッグを持った人が多くいて、座席はその人たちで埋まっていた。高校生風のカジュアルなスタイルが目立つ。いわゆる卒業旅行ってやつですか。若者たちは、同じ伊豆でもたいてい東伊豆の、例えば伊豆高原辺りを旅行先に選ぶのかと思っていたが、最近はそうでもないらしい。今日の光景を見る限りでは、若者層の目も、伊豆長岡修善寺といった落ち着いた温泉場に向けられるようになってきているのかもしれない。
今日の温泉は、いつもの共同湯ではなく、以前から浸かってみたいと思っていた南山荘の温泉に行ってきた。明治40年創業の老舗旅館で、北原白秋川端康成が好んで逗留したという。ここの日帰り入浴料は500円。老舗旅館だし敷居が高いと思っていたら、さにあらず。なんと良心的な利用料金ではないか。ロビーから長い廊下を、途中いくつかある階段を上りながら奥へ奥へと50mほど進む。廊下の突き当たりに大きな鏡があって、そこを曲がったところが浴場だ。裏手は源氏山で、山に向かって増築を重ねてきたような佇まいになっている。さすがに廊下や壁板には築年数相応の痛みが見え、老舗と言えど苦しい経営状況に置かれていることは十分に察することができた。これからも何とか頑張って営業していってほしいと、心の中でエールを送ったことだった。
写真は南山荘の正面玄関。塀の前に私の愛車が停まっている。5,952歩。花冷えの老舗旅館の湯に浸かる(あ)
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