いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

花は咲く

♫真っ白な雪道に 春風香る〜♫小学一年生の孫が歌う。学校の授業で歌っているのだそうだ。テレビからこの歌が流れると一緒に歌い出す。歌詞は映画監督の岩井俊二が作った。歌に込められたメッセージを孫がどこまで受け止めているか分からない。分からないけれど、この歌を口ずさむことで幼い心にも大震災の記憶が刻まれる。そのことが大事なのだと思う。悲しみの向こう側で誰かが歌っている歌に耳を傾ければいい。そして、一緒に歌えばいい。
東日本大震災の発生から3年が経った。実は、私はそれより以前に、第二の人生を送る場所を東北に定めて、福島、宮城、山形、岩手、青森の物件に当たりを付けていた。中でも取り分け福島の阿武隈に思い入れがあって、地元の不動産社長に、船引、都路、川内、葛尾、飯舘を案内してもらったことがある。土地が広く、敷地内に沢が流れ、野趣溢れる感じが気に入って、こういうところで新しい人生を始めるのも悪くないと思っていた。ところが、である。あの福島第一原発の事故によって、私の思いは木っ端微塵に打ち砕かれてしまった。
それでも東北への思いは断ちがたく、福島がダメなら山形はどうかと、これも現地へ足を運んで、米沢と尾花沢の古民家を案内してもらった。山形は、新幹線を使えばさほど遠くもないことが分かったが、どうしてもここという思いにまでは至らなかった。故郷の青森には家を建てる更地はあるのだが、新築に回す予算がない。さて、どうしたものかと思案しているところへ、ある専門誌に載っていた今の伊豆の家の情報が目に止まった。それを見つけて即刻下見。駅から歩ける物件は希少で、このタイミングを逃したらきっと後悔するだろうと思った。で、カミさんに相談もせず買うことに決めた。伝家の衝動買いである。
何だか遠回りをして伊豆に落ち着いたわけだが、それを最終的な決断へと後押ししたのは、やはり東日本大震災だったような気がする。 人生どう転ぶか分からない。この決断が吉と出るか凶と出るか、まずは一歩踏み込まないと分からない。その一歩が、よしんば凶と出たとしても、震災に遭い、一瞬にして全財産を失くした人たちの絶望を思えば、どんな苦境にも音を上げるわけにはいかない。そう思った。とことん生きてやると思った。

写真は上の孫が作ったミニガンダム。一人で最後まで全部やった。撮影もiPadを勝手に操作して自分でやった。8,627歩。三年目大目に見てよ衝動買い(あ)

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