いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

霜月や伊豆の床屋の八重の花(あ)

日曜囲碁トーナメント戦を見終えてから床屋へ行く。午後3時から天皇陛下即位祝賀パレードがあるというので、その時間なら床屋も空くかとの思惑だったが、行ったら順番待ちのソファに先客が一人腰掛けていた。バーバーチェアでは葉加瀬太郎似の息子さんがお客さんと話をしながらドライヤーをかけていた。

この場合、お母さんが奥から出てきて次の客をバーバーチェアに座らせるところだが、ソファで二人待っているのにお母さんは出てこない。息子さん一人でお客さんの相手をしている。

どうしたんだろう、体の具合でも悪いのかなと思っていたら、ドライヤーのお客さんが店を出たところでお母さんが出てきて、代わりに息子さんが奥へ姿を消した。

当然、お母さんは私より先に来ていた人の散髪を始めるかと思っていたら、私をバーバーチェアに呼んだ。先に来た人は隣のチェアに座っている。順番が逆じゃないの? と思いながら、呼ばれるままに促されたチェアに腰を下ろしたら、「お待ちどうさま」と言って奥から息子さんが出てきた。その客は息子さんの散髪をご所望だったのかもしれない。

お母さんが私の髪の毛を切りながら、「パレードが始まったみたいよ」と教えてくれた。ソファの前にあるテレビの音が聞こえてくる。私は、「晴れてよかったね」と言う。

そこから話はカラーテレビのことになり、ミッチーブームをきっかけにカラーテレビが普及したんだっけかと私が振ると、お母さんは「いえ、カラーテレビが普及したのは東京オリンピックからでしょう」と言う。

カラーテレビが茶の間に登場したときは、カラーのことを確か「総天然色」と呼んでたね、とか、テレビも家具調テレビだったね、とか、「七色仮面」を白黒テレビで見た話とか、テレビのある家に行って「テレビを見させてください」と頼んで居間に上げてもらったりしたとか、「恐怖のミイラ」を見た後は夜道を帰るのが怖かった、とか、テレビの思い出話が次から次へポンポン出てくる。「恐怖のミイラ」は7時半からで、その前の7時からの番組は「とんま天狗」だったと私が言うと、お母さんは、♫とんとんとんまの天狗さん♫と懐かしそうに歌った。

お母さんは湯ヶ島の出身で、私は青森の出身で、生まれも育ちもまったく違うのに、こうして共通の話題で昔を懐かしく語り合えるというのは、幸せなことには違いない。

 

【今日の一枚】ヤエチョウセンアサガオ(八重朝鮮朝顔)。

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散髪代を支払って外に出たら、お母さんが後ろからついてきて、面白い花があるからと見せてくれたのがこの花。店の前の花壇に植わってあった。

散髪代を払うときに私が庭の植え込みのシコンノボタン(紫紺野牡丹)の花を褒めたので、お母さんが私のことを花好きの人と勘違いして見せてくれたのだろう。本当は花好きでも何でもないんだが。

 

【書】「比」ヒ・くらべる・したしむ(No.295)

▼甲骨文

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▼金文

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右向きの人と右向きの人とを組み合わせた形。[説文]八上に「密(した)しむなり」とあり、「したしむ」の意味とする。(中略)二人並ぶ形であるから、「ならぶ、ならべる、したがう」の意味となり、また比較(くらべること)のように「くらべる」の意味に用いる。左向きの人が前後に並ぶ形は从(じゅう)で、従(したがう)の元の字である。

 

【温泉】一二三荘。

 

【タイムラプス】11月10日(日)6:45〜8:34の伊豆長岡の空。

https://www.facebook.com/100001436582002/videos/2630976646960196?d=n&sfns=mo