いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

教場の瞳は今も夏の海(あ)

呑兵衛夏旅行の二日目。昨日の雨もあがり、空はどんより曇っていたが、かんかん照りよりはマシ。

当初の予定では、大阪城築城に採石された跡を見学する予定だったが、そのためだけに島を大回りするよりも、走行距離を詰めて、その分、醤油醸造蔵と寒霞渓をたっぷり見ようということになった。築城に使われた石を見たってしょうがねえ、というのが旅団長以外の3人の意見。あらかじめ、こういうコースで回ったらよかろうとプランを練ってくれた旅団長のことなんてちっともおもんぱかろうとしないところが、何というか、呑兵衛旅行団の真骨頂。

で、最初に向かったのが寒霞渓。寒霞渓は、日本三大渓谷美の一つとされ、日本書紀にも記述される名勝らしい。いやあ、恥ずかしながら知りませんでした。ちなみに、日本三大渓谷美の渓谷とは、妙義山(群馬)、耶馬渓(大分)、寒霞渓(香川)を指す。

ロープウェイ駅のある展望台から望む景色は、それはそれは見事で……、といいたいところだが、今日はすっぽり厚い霧におおわれて、ご覧のありさま。まさに寒霞渓の名にふさわしく、上着が欲しいくらいの天然クーラーでした。

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山を下りる道は、ヘアピンカーブの続くところも数カ所あったが、視界が厚い霧で遮られたことで、山道カーブテクニックを密かに誇る旅団長のハンドルさばきの恐怖を味わわなくて済んだことは、これ幸いだったかもしれない。

山を下りて、次はマルキン醤油醸造蔵へ向かう。山の涼気と打って変わって、下界はくわっと真夏の太陽が照りつけてみれば、蔵見学もそこそこに、売店に駆け込むていたらく。

そこに、「しょうゆソフト」を見つける。醤油ソフトクリームとは珍しい、どんな味がするんだろうと試したくなるのは旅人情というもので、300円だったら糖尿病だって何だって買ってしまうでしょう。

ペロリと一口なめて、醤油=しょっぱい、という感じはない。かえって、ほんのり焦げた醤油の香りがまろやかに口に広がるようで、なかなかの美味。ファミリーもカップルも、あとから観光バスで乗りつけた中学生の集団も、こぞってペロペロやっていた。一人しかいない売店のおじさんは、さぞかし、しばしも休まず「しょうゆソフト」を作り続けていたことでしょう。

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醤油醸造蔵から映画「二十四の瞳」の舞台になった分教場、そこからさらに映画村へ移動。映画村ではうら若い乙女4人組が雑巾を手に、せえので廊下の雑巾がけの真似事をしていた。小学生の頃の掃除の時間が、突如蘇ったといったふうに。展示された数々を見ているうちに、そんな気分になっちゃったんだろうね。

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映画村で昼食にする予定だったが、採石場跡をはしょったことで時間にゆとりができ、昼食はオリーブ園を見てからにしようということになった。そこに「道の駅」があるから、昼食がてら夜の酒とつまみもそこで調達するつもりでいた。が、その「道の駅」なるものがない。いや、観光案内に名前はあったが、どうやらそれはオリーブ園そのものを指していると判り、しかも、新装レストランの入り口には「CLOSED」の表示、って、この書き入れ時に休みにすんなよ。

他に食事の摂れるところはないかと探したら、隣の施設に立派なレストランがあって、旅団長は以前そこへ来たことがあるという。入ったら、店内は以外に空いていた。なんだ、最初からこっちに回ればよかった。

ここで遅めの昼食を摂ることにする。ところが、この遅めの、というのが危ない。

以前、これで失敗したことがある。

この呑兵衛夏旅行の一回目が青森だったのだが、そのときは竜飛崎を回って太宰治の斜陽館近くの店で遅めの昼を摂り、空腹の勢いのままカツ丼を頼んだ。このカツ丼のボリュームが半端なくて、ために、その日の蔦温泉の宿の せっかくのご馳走を、大量に食い残すという失態をやらかしたのだった。

その頭があるものだから、夕食が入る分の腹を残す作戦で、全員パスタを注文。ところが、ですよ。パスタが出てくる前に、パンが出てきたのです。

「頼んでませんよ」と、パンを運んできた店員に言うと、サービスだと言うではないか。しかも、食ったらカリカリホクホクの焼きたてで、旨いことこの上ない。オリーブオイルをたっぷり垂らし、オリーブ香草塩をふって、たちまち2個を平らげる。これだもの、旅では体重が増える道理だ。

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