いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

父母の墓参り

昨夜遅くまで飲んだ仲間が、朝一番で電話をくれた。今日、私が父母の墓参りをすることを知っていて、車で連れて行ってやると声をかけてくれたのだ。ありがたいことだ。彼は青森市郊外の温泉町に実家を持ち、飲み会があるときは、いつも車と一緒にホテルに泊まることにしているという。飲み会の後にタクシーで帰るよりも、その方がきっと安上がりだからだろう。私の父母の墓は、彼が市街から自宅へ戻る途中の海辺にあって、去年も今年と同じように声をかけてくれて線香を立てることができた。
墓参りを終えて、誘われるままに彼の自宅にお邪魔した。車を降りたら、玄関先に彼のお母さんが立っていた。私が挨拶をしたら、顔は覚えているけれど名前が出てこないとのことで、名乗ると、相好を崩して懐かしがってくれた。高校を卒業する頃、二階の部屋で一緒に麻雀をやりましたね、と話を向けたら、麻雀だったら今でもお付き合いできるわよだって。今年91歳だとはとても思えないほどしっかりしていらっしゃる。寝てばかりいてもしょうがないから、家の周りの草取りをしようと思っていたところだと言って、作業スタイルのまま冷蔵庫から冷えたリンゴジュースを出してくれた。ごちそうさまでした。これからも長生きしてくださいね。
買い物をするという彼の奥さんも一緒に車に乗り、私は青森駅で降ろしてもらった。青森から大鰐温泉に向かう。夕方の新幹線の出発まで大鰐温泉で一風呂浴びようと思ったのだ。青森に18年いながら、実は、一度も大鰐に行ったことがなかった。秋田行きの奥羽線に乗り大鰐温泉駅で下車。青森駅からはちょうど一時間で着いた。森沢明夫『津軽百年食堂』で紹介された蕎麦屋に入ろうと思ったが、すぐ駅前に食堂があったので、百年食堂に強いこだわりがあったわけでもないし、そこで昼食を摂ることにした。大鰐ラーメンの小を注文。600円。温泉で育てたという特産のもやしが富士山盛りで出てきて、食っても食ってももやしを食い切れない。麺かと思ってつまみ上げると必ず細く長いもやしが絡まってくる。スープは魚の出汁を基調としていて、どこか素朴で懐かしい味。もしかして、ここ、津軽百年食堂のモデルになった食堂? と察してネットで調べたら、それがまさかのモデル食堂であった。なんたる偶然。客は私も含めて8人いたが、全員大鰐ラーメンを注文していました。
食後は、5分ほど歩いたところにある公衆浴場に浸かる。200円。脱衣所の暖簾が風にひらひら泳いで、やや大きくめくれた時には往来の人の姿が見えたりする。山に囲まれた、いかにも昔ながらの温泉といった雰囲気が残っていた。
大鰐温泉からの帰りは弘南鉄道を使う。3両のワンマン電車で、時折、車窓から手が届くような近さにリンゴの枝が伸びていたりする。冷房はなくても、窓を開けると吹きたての秋風が入り込んできて心地よい。ただ、座席のフェルトはだいぶくたびれていて、やっとこさ運行を維持しているという、そんな痛々しさがあった。廃線にならないことを切に願う。7,550歩。
写真は、大鰐温泉弘前を結ぶ弘南鉄道の電車。私鉄だが、改札口はJRと同じホームにおまけのように設けられていて、駅員はいない。乗る時は勝手に乗って、降りる時に運賃を払う仕組みになっていた。青りんご車窓の枝を揺らしけり(あ)
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