【きょうの一枚】夏富士。
3階病室窓から見た富士山。
ここから見る富士山は、残念ながら、明日からは見られない。
退院して、これまで寝起きしてきたベッドを次の人に開け渡すんです。
写真には見えないが、左にリハビリ治療室がある。退院してからはここに通うことになる。
乗タクの時刻表を見せたら、リハビリ担当がそれに合わせた治療スケジュール表を作ってくれた。
眼下中央は「カメさんデー」でお世話になっているスーパー。
カミさんに「オール讀物」今号を買って来てもらった。今号は、直木賞発表合併号。
今期直木賞を受賞したのは二作品。垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』と永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』。
早速「選評」に目を通してみた。
『極楽……』は「オール讀物」に連載していたから知っていた。『木挽町……』は読んでない。でも、作者の永井さんは別の作品を読んで、お名前だけは存じ上げていた。
何はともあれ、真っ先に「選評」に飛びついたのは、選考委員がどういう目で候補作品を選んでいるか知りたかったから。
京極夏彦さん:垣根涼介『極楽征夷大将軍』は、足利尊氏を中心に据えた歴史小説として読み解けるものである。尊氏の人物像の新解釈という側面ばかりが強調されがちではあるが、これは寧ろ尊氏という人物を一つの装置として設定し、それと向き合う側近二人の差異を利用することで「太平記」を”読み替える〟作業なのではないだろうか。……
浅田次郎さん:……作者は勤勉である。難解な資料を時間をかけてよく読みこんでいる。しかし一方では勤勉に過ぎて、フィクションとしての部分が不足していた。……
伊集院静さん:……足利尊氏・直義兄弟の姿は、現代に生きる我々に何かを教えてくれる。何を教えているかと言うと、人間にとって大切なものは、その人の生まれ、素性、才能に左右されないということである。同時に、周囲の差しのべてくれる手がなくては、何事も成し遂げられないということである。……
角田光代さん:「極楽征夷大将軍」は、幼年期から何も考えていない高氏を、側近の師直、弟の高国がブレーンとしてささえるという構図を主軸として、ひとつの時代の終焉から南北朝の動乱をへてあらたな時代が生まれていく、ダイナミックな時代の変遷をあきれるくらい緻密に描いた大作である。……
林真理子さん:……まず、歴史上、最も人気がない(と私は考える)南北朝を、よくもまあ飽きさせずに読ませるものだと感嘆した。最後まで読者に本を閉じさせない腕力はたいしたものである。……
宮部みゆきさん:『極楽征夷大将軍』は、「太平記」を丁寧に読み解いた上で、足利尊氏・直義兄弟の人生を描いた歴史小説です。お勉強本なので、私は読み進むのにかなり苦労してしまいましたが、たいへんな力作であることに間違いはありません。……
桐野夏生さん:『極楽征夷大将軍』思った以上に時間がかかったが、大変面白く読ませて頂いた。本作は足利尊氏を支える、現実的で有能な弟の直義と、知略に長ける側近の高師直、この二人の視点が交互に現れて、激動の時代とその渦中にいる尊氏を描く。……
高村薫さん:『極楽征夷大将軍』は、太平記を垣根氏が現代に講釈した令和版「太平記読み」と見ることができる。江戸時代は主に楠木正成が理想の武将として切り取られたのに対し、垣根氏は不人気な足利尊氏・直義を軸にして太平記を読み替える。……
三浦しをんさん:『極楽征夷大将軍』は、ぼんくらな足利尊氏という斬新な人物像が提示され、「なるほど、本当にこういうひとだったのかも」と非常に説得力があった。……
『極楽征夷大将軍』は、私には、非の打ち所の無い素晴らしい作品に見えたけど。
【書】お休み。
【ディジタル画】お休み。
【昭和の風景】お休み。
【タイムラプス】お休み。