いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

中伊豆ワイナリーに行ってきた

どうしても「狩野川の若鮎」を青森への土産にしたくて、午前10時過ぎに大仁の深瀬菓子舗に行く。10時ならば幾ら何でも開いているだろう。よしんば、9時開店だとしても10時に売り切れることはあるまい。そう読んだが、店はまだ開いていなかった。隣のかき氷売りの方も閉まっていて、そちらのガラス戸に12:00〜17:00と手書きの紙が貼ってあった。この前来た時には張り紙に気づかなかった。営業中だったから開店時間は気にも留めなかったし、たぶん、ガラスの引き戸が開かれていて、張り紙が内側に隠れて見えなかったんじゃないかなあ。ともかく、12時までどこかで時間を潰して出直すことにした。
井上靖『しろばんば』に出てくる筏場(いかだば)に貴僧坊(きそうぼう)水神社がある。ここに湧き水があって、飲料水やワサビ栽培に利用されているという。大仁からは少し距離があるが、今後の下見ということで出かけてみることにした。大仁商店街を抜けてそのまま旧下田街道を修善寺へ向かう。修善寺駅を見下ろす細い坂を上り、修善寺南小学校の脇を通って伊東へ通じる広い道へ出る。その道を少し走ったところで「中伊豆ワイナリー」の看板が目に止まった。思わず、反射的に左折する。ここも以前から見てみたかった施設ではある。距離的にはこちらの方が遥かに近いし、貴僧坊に行ったところでタンクを用意していなかったから、どのみち湧き水は汲んで来れない。
ぽつぽつ点在する人家を抜けて、針葉樹林の坂をくねくね上る。上り切ったところに広大なぶどう畑が広がり、ぶどう畑の先に、チャペルのような屋根の尖った建物が見えた。空は真っ青に晴れ渡り、綿菓子のような雲がゆっくり流れていく。一瞬、ここは南仏か(行ったことないけど)と思わせる風景に飛び込んだかのような錯覚を覚えた。長野にある玉村豊男さんのワイナリーもこんな感じなのかなあ。私が到着した後から、大型バスを3台連ねた観光客がやって来て、それまでの静寂が一変に吹き飛ぶ。売店では、競うように試飲、試食をし、ワインのボトルを二本三本と買っていた。普段は酒量販店で、いかに安い焼酎を買うかに腐心する親父連も、こういうところでは紳士然と高いワインを買って行く。観光土産にはどうしても財布の紐が緩くなるんだねえ。

12時を回って再び深瀬菓子舗へ。相変わらず、かき氷は大繁盛。声をかけるのもはばかられるくらいのてんてこ舞いの大回転。それでも敢えて声をかける。「狩野川の若鮎、欲しいんですけど」「最中は注文をいただいてから作ることにしているんです」って、なるほど、そういうことだったんですね。どうりで店のケースになかったわけだ。恐れ入りました。はい、今度また予約してから買いに来ます。5,142歩。

写真は、中伊豆ワイナリーから見た富士山。陽射しはまだまだ暑いけれど、丘を渡る風は爽やかで秋の気配を感じさせた。まだ何もせぬ間に終わる夏木立(あ)
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