いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

職場の昼食会

秦野の職場の昼食会。講師部屋の仲間8人が参加する。場所は、職場近くのフレンチレストランで、地元から通っている人の話によると、ここは元住宅展示場だったという。住宅展示場が別の場所に移って、残されたモデルハウスをリフォームしてフレンチレストランとしてオープンした。道の反対側は畑が広がり、新しくできた道にまだ建物が建ちきれていない、そんな景色の中にある店である。店内はモデルハウスの面影をとどめていて、玄関の上がり框やカウンターキッチンがそのまま残されてある。予約席は、かつてダイニングルームだっただろう6畳間ほどのところに用意されてあった。この手の昼食会には殆ど参加したことがないのでよく分からない。何か飲み物を頼むものと思っていたが、ドリンクは最初に出された水だけで、今一つ調子が出なかった。

デザートには、その名も「津軽」というリンゴの、煮たのだか蒸したのだかの上に、シナモンをまぶしたアイスの乗っかっているのが出た。いかにもフレンチのお洒落なデザートではあったが、私には、実家でまだリンゴ畑を持っていた頃に食べた、あの、薪ストーブの湯沸かしでふやかしたリンゴの味がした。リンゴ農家は、店頭に並ぶような見た目のいいリンゴを口にすることはまずない。売れるリンゴは悉く農協に差し出され、だから食べるのは、落下したのとか虫食いのとか、商品にはなり得ないものばかり。食むと、ジュワッと口の中に蜜が広がるようなリンゴは、買って食べるリンゴでしか味わえなかった。皮肉なことに、そういった甘いリンゴはリンゴ栽培をやめてから食べられるようになった。
今では甘いリンゴに慣れ切った舌ではあるが、それでも時折、無性に酸っぱいリンゴを食べたくなることがある。「アサヒ」とか「センナリ」とか、ああ、その音を脳に聞かせるだけで、たちまち口に酸味が広がる。市場がより甘味を求めるのは仕方のないことかもしれないが、どれも甘くて味の違いがよく分からなくなってきた。それが寂しい。
写真は伊豆の家の玄関。この欄間の下にスクリーンを垂らしてホームシアターを、なんて思っているのですが、どんなもんでしょう。4,507歩。虫食いの林檎や故郷遠くなる(あ)
f:id:jijiro:20140321071602j:plain