いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

リヤカーに母の小さき草いちご(あ)

 最近、湯屋でよく見かける人がいる。その人は私が一緒にいることなどお構いなしというふうに、「いい風呂だ。ん〜、最高!」などと快哉の声を上げる。
 頭髪が特徴的で、髪の一部分だけを残す弁髪に近いが、弁髪のように前頭部を剃り上げてはいない。残した髪を三つ編みにもしない。強いて言うなら、馬の鬣(たてがみ)を垂らした格好に近いか。
 今日はその人と脱衣所でも一緒になり、ひょんなことからレコードの話になった。「レコードと言っても、今の若い人には判らないかもしれませんね。音の出る、丸くて黒い板のこと? くらいの認識なんだろうな」と私が言うと、その人は、馬の鬣をバスタオルで拭きながら身を乗り出してきた。そしてそこから、レコードの味わい深い音色について、水を得た魚のように滔々と語り出した。
 レコードプレーヤーを5台持っているというところから推して、相当なレコードマニアと思われた。実は私の弟もジャズのレコードをたくさん持っていたのだけれど、実家を解体するときにごっそり処分してしまって(今はない)、と言おうとしたら、その人が今度はいきなりジャズの話を始めた。
 私はレコードの音色に聴き惚れることもなければ、ジャズについても全くのど素人である。だから、その人がレコードやジャズについて熱く語るのを、時折相槌を打ちながら聞いているだけだった。
 歳格好は、私と同じくらいだろうか。かつては頻繁にジャズ喫茶に通った口だろうと推察したがどうだろう。
 その人は、もしかしたら私のことをレコードやジャズに精通した人と受け止めたかもしれない。いや、だから、それはマズイって。私は何も知らないんだから。


【今日の一枚】庭のクサイチゴ(草苺)の花。

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 庭の奥の崖縁に草苺が自生している。その花が咲いた。
 小さい頃、母の畑仕事を手伝った帰り道で見かけ、赤く熟した実をよく摘んで食った。この白い花の記憶はないが、赤い実の、酸っぱい野趣あふれる味は今も口の中に残っている。


【書】「物象」ぶっしょう(No.643)

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 「①物のかたち・すがた。物形。②自然の風景。四季の景物。」(『旺文社漢字典』第2版)
 「物」の音符は勿(ぶつ)。勿は犂(すき)で土をはねる形で、勿の音も撥(はつ=はねる)と近い。物の古い字形がなくて確かめがたいことが多いが、勿の甲骨文字・金文の字形は明らかに耒(すき)で土を起こしている形である。→白川静『常用字解』
 「象」は、象の形。甲骨文に「象を隻(え=獲)んか」と占っており、また「宮を爲(つく)る」とあり、殷(いん)の時代にはその領域の内でも、象を捕獲して土木工事に使っていたようである。象の鼻先に手を加えた形が為(爲)で、象を使役するの意味となる。→同 


【タイムラプス】3月30日(火)5:49〜7:40の伊豆長岡の空。27秒。

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【新型コロナ】3/30(火)10:00現在(Yahoo!より)
新規感染者数→1,345(前週同曜日比 +528)
重症者数→342(前日比 +1)
累計死亡者数→9,093(前日比 +29)