いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

白梅や暮色を透かし咲き匂ふ(あ)

福島民友新聞コラム「編集日記」に、使われなくなった着物や帯などをリメイクし、襖に貼り付ける表具サービスの話が載っていた。それで私は、青森の実家を解体するときに形見として譲り受けた父の和服のことを思い出した。

私は普段は和服を着ない。正月くらいは着てみようかと思うが、今年の正月は孫の世話でバタバタして着損ねた。今後も着るかどうか判らない。

コラムを読んで、着るかどうか判らない和服をただ仕舞っておくのだったら、いっそ襖に貼り付けるのも手かなと思った。福島県喜多方市のシルバーセンターの表具サービスも、そういう発想から出てきたものだろう。だが、如何せん男の和服は地味。襖に貼っても今ひとつぞっとしない。

襖に貼るならどうしたって女性の和服でしょう。実家解体の際は、母の和服はどうしたろう。実姉の手元にもらわれていったのだったか。もしかしたら、世話になった便利屋さんが処分してくれたのかもしれない。そのあたりの経緯は覚えていない。

女性の和服の古着ならば、母のではないが、段ボールにして二箱押入れに仕舞ってある。これは、家の修繕に精を出していた頃、ヤフオクで落札したものである。

修繕するのに何で古着? これは平安貴族の住まいに使われた几帳がイメージとしてあったから。その間仕切りカーテンを古着でこしらえたらよかろうと思ってヤフオクから取り寄せたわけです。

平安貴族の几帳と言えば聞こえはいいが、何のことはない、障子戸とか襖とかを作る技術を持ち合わせていないがための苦肉の策だった。そんなものだから、我が家は夏は風通しがよくクーラー要らずだけど、冬は隙間風が吹き荒れて滅法寒い。私は昔から寒さには慣れているが、カミさん初め孫たちは寒さが身にしみるようである。

吉田兼好は「家のつくりやうは夏を旨とすべし。冬はいかなる所にも住まる」(『徒然草』第55段)と言った。私はその謂に首肯してただ実践しているだけなのだが、冬の寒さに平気なのは私だけらしい。

こうなると、襖に和服の古着を貼り付けるより先に考えるべきは、どうやら家の暖房のようだ。

 

【今日の一枚】半透明の白梅。

f:id:jijiro:20200123185712j:image

帰宅して、暮れかかった空を背景に梅の花を撮ったら、期せずして花が暮色に透けて見える写真になった。「東風吹かば匂ひ起こせよ梅の花主なしとて春を忘るな」と詠んだ菅原道真は、どんな梅の花を見たのだろう。案外、こういった暮れゆく空に透ける花だったかもしれない。この歌の詞書には「流され侍りける時、家の梅の花を見侍りて」とある。だとすれば透ける花は、太宰府に左遷される身のかそけさと重ね合わさったとも捉えるのもありだな。

 

【書】「憂」ユウ・うれえる・うれい・うい・くるしむ・も(No.366)

▼甲骨文は無し。

▼金文

f:id:jijiro:20200123185459j:image

会意。〓1(ゆう)と夊(すい)とを組み合わせた形。〓1は憂のもとの字。頁(けつ)は儀礼のとき、頭に布(きれ)をつけた形で、この場合は喪章(もしょう)をつけた形である。夊は後ろ向きの足あとの形。喪に服して、頭に喪章をつけた人が哀(かな)しんで佇(たたず)む姿を憂といい、「うれえる、うれい、なやむ、くるしむ、も」の意味となる。喪に服して悲しむ人の姿を優といい、またその所作(しょさ=しぐさ)をまねする者を優という。(後略)<『常用字解』より>

〓1(『超漢字』の画像)↓

f:id:jijiro:20200123185525j:image

 

【温泉】一二三荘。

 

【タイムラプス】1月22日(水)5:46〜7:22の伊豆長岡の空。23秒。

https://www.facebook.com/100001436582002/videos/2789802367744289/?d=n