いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

九州の雪やはるかの時流る

今日は西日本を大寒波が襲い、各地に大雪をもたらした。広島県でなんと147cmも積もり、南国奄美大島にも115年ぶりの雪が降った。今年は暖冬だと思っていたところへのこの大雪、普段あまり雪を見る機会のない南の人たちにはどう見えただろう。
九州に降る雪を私は実際に見たことがある。それは今から40年も前になるか。私がまだ大学生だった頃である。
大学の3年だったか4年だったかの3月、ひょんなことから熊本県有明海に面した町で住み込みのアルバイトをすることになった。募集をかけていたのは神奈川県川崎市の樹脂会社。当時東京の世田谷でルームシェアしていた同郷の友人を誘って、行ってみるか行ってみようと二人で応募した。同行の従業員は確か3人だったと思う。
川崎港からフェリーで宮崎県の日向まで行き、そこからワゴン車で高千穂峡を越えて熊本県に入ったのだが、その日の夜は大雨で、なんともスリル満点な高千穂越えであった。従業員は皆さん陽気な人たちで、大雨のくねくね道もなんのその、かぐや姫の歌を延々歌いながら、いかにも楽しくて仕方がないといったふうだったおかげで、こちらも少しは気が紛れた。
仕事場は島原へ渡るフェリー乗り場の近く。そこでアルミサッシを漬けるプールの内側に特殊な樹脂を塗っていくという仕事だった。その仕事を何日間やったか覚えていない。宿はどんな宿で、食事はどんな食事だったかもよく覚えていない。だけど、何日目かにぱらぱらと雪が降ってきたことだけは覚えている。それまで九州は暖かいところで、雪なんか降らないと思っていた。それが降った。へええ九州でも雪が降るんだ、しかも3月にと思ったことはしっかり覚えている。
アルバイトが終わり、私と同郷の友人は、せっかく九州まで来たのだからと、もらったばかりのアルバイト料を東京へ帰るまでののんびり旅につぎ込むことにした。フェリーで島原へ渡り、そこから長崎の大浦天主堂とグラバー邸、小倉黒崎の怪しげな劇場、そして熊本城を回る。鹿児島は素通りして日南海岸の青島に立ち寄り、下関から山陰本線松江で旧小泉八雲邸を訪ね、伯備線中国山地を抜け、宇高連絡船で高松まで足を伸ばし、新幹線で東京に戻ってきたところでアルバイト料はほとんど使い切っていたのだったか。途中で同郷の友人の学友(小倉出身)も加わり、ともかく愉快な旅でした。
…あれから40年。私は神奈川に就職し、友人は故郷に職を得た。友人はあのとき九州で降った雪のことを覚えているだろうか。
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写真は、テラスモール湘南(手前)と湘南モールフィル(向こう)の大型ショッピングモールに挟まれた東海道線沿いの道路。ナンバーが見えないようにトリミングしたが、日曜の上り車線はこうして慢性の渋滞となる(って、この写真じゃよく分からないね)。(あ)

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11,303歩。