いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

夕雲をくすぐり丘の猫じやらし(あ)

我が家にはクーラーがない。いや、増設洋間に一台だけあるが、これは前のオーナーがお使いくださいと置いていったもので、譲り受けたはいいが一度も使ったことがない。
クーラーがなくても、家中の窓という窓を開け放てば、涼やかな風が入り込んでくるから一向に構わない。
伊豆でも、このところ30℃を超す猛暑が続いていて、2階の窓と増設洋間の窓を開けっ放しで寝ることが多い。セキュリティ上は大いに問題があるが、クーラーなどなかった昔は、どの家もそうだったんだとうそぶいて夜風を入れながら寝る。
そうして朝は、蝉の鳴き声とともに起きる。朝4時を過ぎたところで、まずヒグラシが鳴き、ヒグラシが引っ込んだ後はニイニイゼミが鳴き始める。最近はそこにクマゼミが割り込むようになった。
ヒグラシは涼しい時にしか鳴かない。日が出るともう鳴りをひそめてしまう。カナカナカナと物悲しくなくさまは、なんとも風情があっていいものだ。
そこへ今度はウグイスが加わり、雄々しい夏富士が見えるとなれば、もうこれは申し分ない。こんなところに住みたかった、というところに今住んでいる幸せをひしと噛みしめる日々である。
ひるがえって、西日本豪雨災害を思う。13日現在で犠牲者が200人を超え、なお行方不明者が60人以上いるという。未曾有の大雨被害の様子をテレビで見るにつけても心が痛む。ずっとそこで営んできた日常が、大自然の猛威によって一瞬にして破壊された。きっとその場所は、それぞれの人にとって、こういうところに住みたかったという場所だったに違いない。蝉の鳴き声を聞きウグイスのさえずる声を聞いていたのだったろう。なんともやりきれない思いが募る。
私は思う。東日本大震災の時のように、生きたくても生きることが叶わなかった人たちのために、一瞬にして日常を奪われた人たちのために、私に何ができるか。
私にできることは、災害に遭われた人のために祈ること。地位も金もない私には、オロオロしながら祈ることしかできないのです。


【写真】エノコログサ(狗尾草)。

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一二三荘からの帰り、エノコログサの向こうに夕焼け空が見えた。
前はこの道の下に家があって、しばらく空き家になっていたが、今は解体されてコンクリートの基礎だけがあらわになっている。
エノコログサは「狗尾草」と漢字を当てる。「花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ」<https://ja.wikipedia.org/wiki/エノコログサ>る。焦げたふうの色の穂も混ざっているが、そいつは「ムラサキエノコロ」だな。


【温泉】一二三荘。


【タイムラプス】7月13日(金)5:18〜7:26の伊豆長岡の空。31秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10216853668756199/