いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

枕木を門に寝かして寒四郎

【写真】門扉の支柱を取り除いたアプローチ。だいぶすっきりした。

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3年ほど前、孫が前の道路に勢いよく飛び出すのを防ぐ目的で門扉をこしらえた。支柱にシイタケ栽培用のホダ木を立て、竹の棒を編んで扉にしたのだったが、その竹の扉がこの3年で朽ち果て、支柱には得体のしれない茸がびっしり生え、いかにも隠遁者の隠れ家の様相を呈してきた。
孫も成長し、この春で上が小学校5年生、下が3年生になる。成長に伴って孫の世話をすることも少なくなり、伊豆へ連れてくる機会もめっきり減った。で、門扉の役目は十分果たしたからもういいでしょうと、今日、元の状態に戻した。
支柱の土台に敷いていた枕木は少しくたびれてきているものの、さすが枕木、しっかりしたものである。これを取り除けばすっかり元通りの石段になるのだが、枕木は他に使い道もないし、しばらくそのままにしておくことにした。
ここで枕木の思い出を一つ。
私は大学時代に北海道の牧場でアルバイトをしたことがある。怪物ハイセイコーが国民的人気を博した頃である。
大学は4年で卒業せず、教員免許を取るために大学に残ることを決めたその年、先に卒業して北海道日高地方の神社に就職していたサッカー部の奴から、牧場でアルバイトをしないかと誘いがあった。そこの神社は馬を祀る神社で、別の離れたところに牧場も持っていた。
どのみち夏休みを利用して生活費を稼がなくてはいけないと思っていた私は、すぐその話に乗った。
牧場の馬房の一部が従業員の寝泊まりする部屋になっていて、私が行ったときは一人の専属従業員(30歳前後だったろうか)がその部屋で宿泊していた。そこに一夏、約40日間ほどお世話になった。
朝起きて、まず馬に飼い葉を食べさせ放牧する。それが済んでから、従業員の軽トラックで牧場主の家へ移動して朝食をご馳走になる。朝食後は牧場に戻り、馬房の清掃をする。昼食は再び牧場主の家で摂り、午後から新しい牧場に柵を巡らす作業をし、夕方に馬を馬房に連れ戻す。それが大まかな一日の流れだった。
柵を巡らす作業は従業員と私の二人でやった。牧場を手伝えと私に声がかかったのは、新たに牧場を拡張するためだったのだろう。その柵に使ったのが中古の枕木だった。
積み上げた場所から枕木を肩に担いで穴を掘った場所まで運ぶ。それを二人で繰り返す。北海道とはいえ、日陰のない広大な草原を行ったり来たり穴掘ったりの作業はさすがにきつい。一日の終わりには大抵へとへとになっていた。雨よ降れ降れと、最初の頃はそればかりを願っていたような気がする。
ただ、40日間ずっと枕木を運んでいたわけではない。柵を巡らす作業は大体10日くらいで終わったのだと思う。その後は、午後ともなれば、馬の乗り方を教わったり、搾りたての牛乳をもらいに他所の牧場まで行ったり、刈り取った牧草をサイロに積み上げたり、そしてたまに街まで出かけて行ってスナックのママさんとデュエット曲を歌ったりもした。
今から40年も前の話である。あの時私が立てた柵は、積年の風雪に耐えながら、今でもかの地で馬の草食みを見守っているだろうか。(あ)

【タイムラプス】1月12日(木)6:27〜8:30の伊豆長岡の空。30秒。

【あやめ湯】18:36〜19:12。2→2人。

【歩数】2,801歩。