いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

街路樹の十八回の夏を食む

来春古希を迎える平塚の呑み友から家に電話があった。つい先週の金曜日一緒に呑んだ人である。柄谷行人に心酔する人である。出たら何のことはない、来月の呑み会の確認の電話だった。私に覚えているかと言う。あの酩酊ぶりだと覚えていないに違いないと踏んだのだろう。ところがどっこい、私のiPhoneのカレンダーにはしっかりその日が入力されているんだなあ。焼酎のボトルが2本目になっても次回の呑み会のチェックは怠らないところが何というか、我ながら呆れてしまいます。

その人が先週の呑み会で柄谷行人の話をしきりにしていて、今度(本を)持ってくるよと言ってくれた。この歳になって硬い話は苦手だとやんわりお断りしたつもりだが、いや新書も出ているというから、新書くらいなら何とか読めそうだと思って昼過ぎに藤沢のジュンク堂まで買いに行った。それが『遊動論〜柳田國男と山人』(文春新書)。うわっ、これって柳田國男を読んでいないと話が見えない? 困ったなあ。来月の呑み会で読んだ感想を聞いてもらおうと思ったけど、ちと重荷に感じてきた。

16,541歩。

写真は、自宅マンション近くの工事現場の金網。この金網で囲ってある場所が2020年開通予定の横浜湘南道路のインターチェンジになる。私が今のマンションに引っ越してきたのは23年前だが、その当時はここに白いアパートが建っていた。もちろん金網はなかった。アパートの隣には倉庫があって、今は自然食品を扱うショップになっている。このショップができたのが平成9年で(ネットで調べた)、たぶん倉庫がショップになったのと同じ頃にアパートが取り壊された気がする。そのときに金網フェンスができたとすれば、かれこれ18年になる。18年前に芽を出した木が、こうして金網を食って伸びている。この木の中は一体どうなっているんだろう。金網の穴に幹を伸ばし、その穴を太らせながら伸びる藤の蔓とか松は見たりするけれど、こんなふうに異物をゆがめることなく、自らの体内に溶け込ませて成長する木なんて見たことない。自然のマジックだ。(あ)

f:id:jijiro:20150525051823j:plain