いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

歌声喫茶だって

午前中の三島の仕事を終え、茅ヶ崎の歯医者へ向かう。三島駅前のコンビニでおにぎり2個とミネラルウォーターを買い、熱海行きの電車内で食う。優先席の座席に座ったお婆さんは、靴を脱いで膝を折り曲げ、膝の上に駅弁を広げていた。また、ドアを隔てた向こうの座席では、若い女性が大きなスーツケースを座席の前に置いて、アイスクリームを頬張っていた。
東海道線では、電車内で物を食うのが何となくはばかられる区間と、別に違和感を感じない区間があって、その境目が小田原駅だ。私の気持ちの中ではそうなっている。小田原駅を出た下り電車の車窓に海が見えてくると、気分は一気に旅の雰囲気になる。早川駅を過ぎるとトンネルの数も俄然増え、根府川駅から見晴るかす海の輝きで旅気分はいよいよ高まる。真鶴、湯河原を通り過ぎ、熱海を最後に海は車窓から見えなくなるが、長い丹那トンネルに7分間潜った後に顔を出す函南駅は山あいの駅で、ぐるり囲んだ山の緑が旅の余韻を三島へつなぐ。三島の次は沼津になるが、この区間は市街の建物が途切れなく続き、もはや旅の景色ではなくなる。だから、旅気分を味わえるのは小田原と三島の間ということになる。この区間は駅弁でもアイスクリームでも、はたまたビールでもワンカップでも、景色に溶け込んでしまうのだ。
茅ヶ崎には午後3時少し前に着いた。歯医者の予約は4時だったから、それまで「茅ヶ崎珈琲店」で時間調整することにした。この店に入るのは3ヶ月ぶりだろうか。以前来たときは全てのテーブルが女性客で埋まっていて、女性専用車両に間違えて乗ってしまったような気がしたが、今日は程よく空席があって、そのうちの一つのテーブルに就くことができた。座った席の壁板にA5版の手書きのチラシが貼ってあって、見ると、「歌声喫茶のご案内」とある。「平成20年4月の第一回以来すでに6年が経ち、すっかり定着した楽しいイベントになりました。市内在住のシンガーソングライター西信光さんのギター演奏と軽妙なおしゃべりが人気です。歌集を手に、みんなが知っている歌を中心に大きな声で合唱します。老若男女、お一人でもグループの方も…大歓迎です」だって。「50年前の青春に想いを馳せて、さあ、いっしょに大きな声で歌いましょう」って、まるで老人会のサークルだね。一体、どんな人が集まるんだろう。60年安保のデモで気炎を揚げた人たちが集まるんだろうか。レジで会計を済ませようとしたら、ご興味がおありでしたらどうぞ、と壁に貼られたのと同じチラシをいただいた。う〜ん、私はやっぱり津軽三味線の方がいいなあ。14,667歩。
写真は、「茅ヶ崎珈琲店」内。このテーブルの左の壁に歌声喫茶のチラシが貼られてあった。半世紀前の珈琲苦かりし(あ)
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