いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

きしきしと骨軋ませて夾竹桃(あ)

 熊本から「熊本日日新聞」(6/3付)がレターパックで届いた。

 送ってきたのは、大学で体連幹事を一緒にやった悪友。やつは卒業して地元に戻り、先代から引き継いだ古書店を営んでいる。そいつがわざわざ地元の新聞を送ってよこした。

 店は熊本城下の繁華な通りにあり、その昔、中学高校と一緒だった同郷の友と、九州を旅行した折に一度だけ訪ねたことがある。熊本城主・細川家文書を扱う老舗古書店で、専門家の間ではつとにその名は知られていた。

 そいつが毎年7月に、仕事で東京・神田古書街に出てくる。その時期に合わせて皆で会うようになったのは何年前からだろうか。

 幹事は持ち回りで、今年は私が二度目のそれに当たっていた。そろそろ日時と場所を決めて皆に知らせなくてはと思っていた矢先、コロナ禍で、世の中がすったもんだの騒ぎになった。

 そこで、東京オリパラが来年に延期になったタイミングで、「今年は集まるのをやめましょう」と全員に通知した。そのときは、まさか学校が臨時休校になり、さらにそれが5月末まで延びるとは思ってもいなかった。

 送られてきた新聞を手に取ると、「読者ひろば」のページに付箋がしてある。そして、そこに見覚えのある写真が載っていた。大学の中庭で、学ランに「体連幹事会」の腕章姿の8人が腕を組んで並んでいる写真である。いかにも時代がかったスタイルだが、当時はある種の威厳を持たせるために、たとい真夏の暑い盛りであってもそういう格好をしなければいけなかったのである。もしくは、学ランは脱いでも必要とあらばすぐに着用できるよう常に携えていなければならなかった。

 同封された便箋には、「地元新聞社から私の半生を書いてほしいと言われて書きました。体育連合会の部分が新聞に載りましたので一部送りました」とある。

 悪友は、現在、商店会の会長をしている由。まあ、言ってみれば地元の顔役といったところなのだろう。それで地元新聞社からお声がかかった。

 4年前の熊本地震では、ちょうど東京の出張から戻って阿蘇空港に降り立ち、そこから店に戻る車中で大きな揺れが来たと言っていた。店に戻ると、店内の書籍という書籍は足の踏み場もないくらいに散乱し、どこから手をつけてよいかわからない状態だったと、その時の様子を『熊本地震2016の記憶』という本の手記に書いている。そういう経緯もあって新聞社から声がかかったのだろう。

 新聞の手記は全部で43話あり、7/3まで連載されるというからすごい。売れっ子作家なみです。

 手記を読んで、あの頃の充実した日々がたちまち蘇ってきた。ずいぶん無茶なことをしたなあと思うけれど、そういう組織に入らなければ経験できなかったあれこれを経験できたことは、私にとって幸せでした。その時の濃い時間は今でも私の貴重な財産となっています。

 

【今日の一枚】庭のキョウチクトウ(夾竹桃)。

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 和名の由来は、葉が竹のように細長く、花が桃に似ているからという。花、葉、枝、根、果実すべての部分に毒があって、フランスで夾竹桃の枝を串焼きの串に利用した人が死んだ例がある由。へええ、そんなに毒性が強いんだ。

 うちの夾竹桃は風が吹くとゆさゆさ揺れ、根がやや浮き上がって幹がきしきし音を立てる。やっとこさ突っ立ってる感じが、老いさらばえた私そっくりだ。

 

【ディジタル画】No.18

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 今回はシャドーにソフトブラシを使ってみた。また、背景の鉢植え観葉植物とカウンターは「ぼかし(ガウス)」を使ったが、人物と背景のレイヤーを別々にしなかったために、ぼかしが人物の腕にまで及んでしまった。そのせいで、だいぶ時間をかけたにもかかわらず、どうにもしまらない絵になった。これも勉強。

 

【温泉】一二三荘。

 

【タイムラプス】6月6日(土)4:28〜7:33の伊豆長岡の空。23秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10223197475267397/?d=n