9時に目を覚ました。久々にゆったりした土曜の目覚めである。
昨日の大雨の中を横浜からきてくれた友はすでに起きて、昨晩の賑やかだった囲炉裡周辺を片付けてくれていた。
友に今日の予定を尋ねると、特に予定はないと言う。ならば、せっかくだからと川端康成が『伊豆の踊子』を執筆したという宿の日帰り風呂に行ってみないかと誘った。が、そこは営業時間が12時からで、12時までにはまだだいぶ間がある。それで、時間の経つのをいたずらに待つのももったいない気がして、雲見の露天風呂にも行ってみたいなとわがままを言ってみた。私は運転しないで連れて行ってもらうだけだが、運転する人はたまったものではない。でも、今回を逃したら二度と行けないかもしれないから行けるうちに行っておきたいという気持ちが優った。友は私の突然のわがままを快く聞いてくれた。
雲見は伊豆でもまだ一度も行ったことのない場所だった。一度行ってみたいと思っていた。第一、雲見という呼び名がかっこいい。それと、一昨年、今の職場でお世話になった体育の先生が雲見のご出身という縁もあって、どんなところかこの目で見ておきたかった。
雲見に着いたのが12時半過ぎ。同じ伊豆とはいえ西伊豆はさすがに遠い。そこに露天風呂があることは初めから知っていたわけではない。雲見の場所を地図で確認しているときに偶然知った。それで目的が定まった。目指せ、雲見の露天風呂。
露天風呂は雲見の中心地から300mほど松崎町寄りにあった。国道136号線を50mほど下ったごろた石の波打ち際にあった。野趣あふれる無人の掛け流し温泉で、舐めるとちょっとしょっぱい。湯を汲む桶は紐で結ばれてあるが、洗い場はない。ジャバジャバ湯が流れ落ちる脇に石段があって、そこに腰掛けて身体を洗う。が、タオルに石鹸をつけても泡立たない。それは本物の温泉である証。
湯に浸かって眺める景色がなんとも素晴らしい。時折フナムシが縁をテコテコ這うのも愛嬌で、新緑の風が火照った顔を吹き抜けば気分も爽快、ここに夕陽を持ってきて沈ませたら絶景になること間違いなしの穴場だと実感した。
目の前の海で泳いで、冷えた身体を温泉で温めるというのも手だね、なんて二人で話していたら、湯から上がった帰りに、水着で入るようにとの注意書きがあった。そうとも知らぬが仏の二人は堂々とスッポンポンで極楽露天風呂を堪能したのでした。
【今日の一枚】ハクビシンが潜り込んだか？
昨日の午前、庭の物置小屋の下に砂利を蹴散らした跡があった。猫か、タヌキか、ハクビシンか。私はハクビシンではないかと見ている。
1回目の床下工事のときに、工事に来た人が、向かいのホテル（休業中）の側溝を歩いているハクビシンを見たと教えてくれた。ハクビシンは最近では都会の住宅街でも見かけるようになったので旦那さんも注意した方がいいですよとアドバイスをもらったばかりだった。
早速出やがった。ハクビシンは家屋の天井裏に棲んだりするというから、それだけは勘弁とちっとは注意していたのだったが、奴め、夜夜中に庭の物置小屋の下をほじくっていたようだ。
小屋を建てるときはハクビシンのことなどまったく想定していなかった。犬や猫を飼うならかわいいが、ハクビシンを飼うとは聞いたことがない。あそこの家ではハクビシンを飼っているという噂がたってもいけない。今のうちになんとかせねばと思うが、何をどうすればいいのだろう。
【書】「厚」コウ・あつい（No.149）
厂(かん)と㫗(こう)とを組み合わせた形。厂は祖先の霊を祭る廟(みたまや)の屋根の形。㫗は儀礼のときに使用する鬯酒(ちょうしゅ＝香り酒)を捧げる形で、お供えを意味する字である。それで厚は廟の中でお供えを供えて、手厚く祖先の霊を祭ることをいう。相手に対する思いやりが「手厚い、ていねい」という意味であったが、のち物体の厚みについて、薄いに対する語の「あつい」の意味に用いられるようになった。＜『常用字解』より＞
㫗のパーツに子が見えるが、これは「子ども」の意味ではなく、お供えとして酒を捧げる図という。『古代文字字典』を開いても、なるほど甲骨文にも金文にも子どもを意味する字形は見えない。
書いて、どことなく流氷の下に浮くクリオネに似ていると思った。
【タイムラプス】6月8日（土）17:43〜18:51の韮山方面の雨空。33秒。
https://www.facebook.com/100001436582002/videos/2339919316065932?s=100001436582002&sfns=mo
