いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

葛の花くぐれば上の我が庵(あ)

 朝方雨が降ったが、うまい具合に出勤時に雨があがった。なんとか職場に着くまで雨に当たらないようにと願ったが、途中で雨に降られ、路肩にバイクを停めて雨具を着た。

 通勤時間はバイクで12分。降ってきそうな空模様の場合は、途中で降られてもいいように大抵家を出る時から雨具を着ることにしているが、今日は着なかった。なんだか蒸し蒸しして着る気が起きなかった。でも、そんな日に限って途中で雨になるんだなあ。

 これまでも仕事の行き帰りの途中で何度か雨に降られたことはあったが、バイクを停めて雨具を着るほどでもなかった。が、さすがに今日は雨具を着ないではいられないほどに降った。

 雨具は常に通勤バッグに入れてある。が、少しの降りなら途中でバイクを停めたりしない。通勤時間は短いし、濡れても大したことはないなと踏んだら、そのままバイクを走らせる。これまでそうしてきたが、今日ばかりはそうもいかなかった。

 それで今日は、雨につき体育祭の朝練は中止。全クラスが校内に散って合唱コンクールの練習をした。

 合唱コンクールの練習はパート練習を始めたばかりで、まだまだ合唱のレベルではない。が、朝から校舎内に歌声が響き渡るのはいいものだ。たとい今は洗練されない声であっても、不思議なもので、一ヶ月もすればそれが立派なコーラスになっているのだから大したものだ。

 私は3年1クラスと2年3クラスの合唱練習に顔を出す機会があるが、見ていると、どのクラスも、「ちゃんと歌おうぜ」と、男子から声が上がる。そこへ女子も負けじと熱を入れる。これがすばらしい。特に3年は2年ごときに負けてたまるかとネジを巻くから、もうその段階から3年は自ずと一つにまとまっていると見える。それがいい按配に相乗効果となって、あの素晴らしい歌声が生まれるのだろう。

 さて、今年の3年はどんなふうに化けるやら、一ヶ月後の合唱コンクールが今から楽しみで仕方がない。

 

【今日の一枚】クズ(葛)の花。

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 仕事からの帰り道、斜面の電柱にからまるように咲いていた。記念写真にようにして毎年同じ場所で撮っている葛の花です。もう、この花が咲く時期になったんですね。

 「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」。葛の花といえば、いのいちばんに思い浮かぶのがこれ。釈迢空(しゃくちょうくう)の歌です。赤紫色の葛の花が踏みにじられて、色鮮やかだ。この山道を私よりも先にとおった人がいるのだ。の意。

 普段、人のあまり通らない山道は葛の花で覆われている。その山道を私より先にとおった誰かがいる。どんな人だろう。山を越えた隣村まで何の用事があったのだろう。そこから山のはるか向こうが見渡せたろうか。それは海原だろうか、富士山だろうか。それとも「分け入っても分け入っても」連なる青い山々だったろうか。

 葛の花を見上げながら空想をたくましくしてみたが、釈迢空の抱いた自然神への畏怖には遠く及ばなかった。

 

【書】「中興(ちゅうこう)」(No.442)

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 「一度衰えたものが途中でふたたび盛んになること」(『旺文社漢字典』第2版)

 「中」の字が面白い。元は、軍の中央にはためく旗の意だが、旗は右にはためくのもあれば左にはためくのもある。一文字なら左にはためくのを選んだかもしれないが、横に二字が並ぶバランスを考えて右にはためかせた。

 

【温泉】雨につき内風呂で我慢。

 風呂場の窓を全開にしてアマガエルの鳴き声を聞く。自然の声を聞きながら風呂に浸かる贅沢を味わっている。と言いたいところだが、アマガエルの声がやかましすぎる。一体どれくらいの数がいるんだ?

 

【タイムラプス】9月3日(木)4:54〜7:11の韮山方面の雨空。33秒。

https://twitter.com/aisakajiro/status/1301791672532041729?s=21