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いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

乗る人のなき駅ホーム北颪

写真は、伊豆箱根鉄道いずっぱこ三島駅7番線ホーム。

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ここのホームは降車専用。いずっぱこは4年前から利用しているが、このホームに降りたのはたった一度しかない。
今日、何気なく目をやったら、ホームの下に溶岩石がごろごろ積まれているのを知った。三島駅北口を出てすぐの、2年前に勤務していた場所の近くにも大きな溶岩の塊があったが、こうして見ると、三島は溶岩の上にできた街なんだということがよく分かる。
このホーム下の溶岩石は、おそらくレールを敷くときに掘削されたものに違いない。それにしても、それをずっとそのままにしておくというあたりがなんちゅうかほんちゅうか(古! 大橋巨泉のこのギャグを知っている人は何歳くらいまでだろう)、ほほえましくさえ感じます。
あやめ湯(18:34〜19:25)4→3人。
活魚タンクを積んだトラックであやめ湯にやって来る人がいる。マイ桶氏から聞いたところによると、その人は沼津の生け簀でアジを育てている漁師さんとのこと。赤銅色でがっしりした体躯は、いかにも漁師といった感じだ。
その人と今日、風呂場で一緒になった。マイ桶氏もいた。「こんばんは」といつものように挨拶をして風呂場に降りると、マイ桶氏は「こんばんは」と返してくれるが、その人からは返事が返って来ない。その人とは以前に何度も一緒になり、私の顔を知っているはずだが、一緒になる度に挨拶しても返事を返してくれたことがない。悪い人ではないのだが、どうも私はこの人が苦手だ。
マイ桶氏の隣の洗い場に風呂イスを置き、「あいにくの雨でスーパームーンが見られませんね」と話しかける。マイ桶氏は、そんなものにはまるで関心がないというふうに「そうだね」と軽く受け流し、「ああ、かったるい」と言う。
「かったるい」はマイ桶氏の口癖で、いつも言う。「今日もお仕事ですか」と私が言うと、「そう。ああ、かったるい」と、また言う。言うが、全然かったるいようには見えない。「この前さ、知り合いから鉄鍋もらったさ。そんで、鉄鍋の蓋をこしらえようと思って、丸太を切ったやつをそのまま蓋に乗っけたらいいと思ったら、丸太って割れやすいんだってな」と鉄鍋の蓋の話を始めるのである。
私とマイ桶氏のやりとりを、沼津の赤銅氏は体を洗いながら聞いているのだが、話には入って来ない。そのうち、マイ桶氏が「ああ、かったるい。今日は一杯やって早く寝んべ」と、誰に言うともなく言って風呂場から上がろうとした時、赤銅氏がマイ桶氏に何か冗談めいたことを言った(何を言ったか聞き取れなかった)。そして風呂場は赤銅氏と私の二人だけになり、赤銅氏は歯を磨き始め、私は湯舟に浸かるのである。
ややあって、文身の若い人が入ってきた。文身は寒山拾得を模したもので、これまで見たことのない絵柄だった。それと入れ替わるようにして赤銅氏が立ち上がり、タオルで体を拭き始める。拭いたタオルをカゴに入れ風呂場を出ようとした時、赤銅氏は湯舟の私に振り向いて「お先」と言ってにっこり笑ったものだ。
これには驚いた。まさかのご挨拶である。湯舟には私しかいなかったのだから、明らかに私に向かって言ったのである。マイ桶氏と私との鍋蓋の話を聞いて、私を知り合いの一人に加えてくれたのだろうか。嬉しかった。今度また風呂場で一緒になったら、今日のようににっこり笑ってくれるかな。(あ)

4,466歩。