いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

兵児帯の暖簾

腐れ押入れの修繕も今日でほぼ終了。増築洋間入り口にドアを取り付けるかどうか最後まで迷ったが、最終的に暖簾をぶら下げることにした。そのほうが開放的だし、第一手間がかからない。費用もかからない。暖簾は、亡き父が着用していた兵児帯を再利用した。真ん中から裁断し、左右二本に分けて吊ったらサイズがピッタリ。向こうが透けて見えるところが何とも艶かしいが、優雅で気品があると見返せば、『源氏物語』の「御簾押し上げて眺め給へるさま、若うなまめかしき御さま」と見えなくもない。客間とするなら、衝立を置けばいい。まあ、このぼろ家に泊まる覚悟のある人は、部屋の中が透けて見えるなんて気にしない連中ばかりだから平気だろう。たぶん。それで、兵児帯を吊るして分かったことがある。それは、そよと吹く風を感じるということ。風鈴の音色も風情があるが、時に風が強いと喧しすぎて興趣を削ぐきらいがある。しかし、兵児帯暖簾は、風鈴を鳴らすほどの力がない微風をも見せてくれる。吹いているのか吹いていないのか分からないくらいの風の流れを感じさせる。風の音におどろく秋の気配もあるが、暖簾のゆらめきに涼を感じる夏だってあるのだ。

暖簾の上の空間には夏祭り子供用の豆絞りを張った。これも田舎の実家にあったもの。親父が鍵当番をしていた保育所の名前が見える。天井にはネットで衝動買いした京都の古着物を解してだらりと張ってみた。これで明るすぎる天井の化粧板が緩く覆われて、全体的にいい雰囲気になった。梅雨に入り日に日に忍者屋敷かな(あ)

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