いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

団欒の窓の明りや闇蛙(あ)

 夜19時。市役所である寄り合いがあった。

 寄り合いを終えての帰り、水をたたえた田圃の間を歩く。右に左に蛙の鳴き声がゲコゲコうるさい。遠くに大門橋の信号の灯りが見え、それを目指してひたすら歩く。歩くしか手段がないから、歩く、歩く、夜道を歩く。

 蛙の鳴き声がうるさいといって、田圃の持ち主に訴訟を起こした人がいる。莫迦か。そんなのいちいち気にしていたら暮らしていけない。蛙の鳴く場所に居を構えたんだから我慢するしかなかろう。蛙のせいにするんじゃないよ。

 暗がりを歩いていたら、アイスクリームがやたら食いたくなった。変なの。これも基礎疾患の影響か。

 夜の夜中に甘い菓子を頬張ったら体に良くないことくらい百も承知している。だけど手が出る。坂道を上って家に辿り着くまでのエネルギーを補給しようというのは、まだ行きたいと思う気持ちがあるからか。さもしい。そういう奴はとっとと死ね。

 最近、この世とどうおさらばするか、そのことばかり考えている。

 考えてみたらもう70年も生きてるんだもんな。生きすぎだよ。そろそろくたばってもいい頃だろ。

 マッカーサーは「老兵は死なず、ただ去るのみ」と言った由だが、醜く老いてまで生きる気は私にはない。「老兵はつべこべ言わずとっとと死ぬ」のがいい。そういう具合に人生を締めくくりたい。

 

【きょうの一枚】順天堂大学附属病院。

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 屋上にヘリポートがあり、そこからドクターヘリが飛び立つ。伊豆半島一円を網羅する医療の拠点病院だ。隣に温泉旅館があったが、今は撤去され、その跡地に病棟が増設される。

 病院が大きくなるのは、そこに住む住民にとっては誇らしく思えるようだけど、とかく大きい病院だと予約が取りにくくて困る。診察だって一日がかりだ。もっと気軽に往診してくれたり小回りが効いたりする町医者の方が私にとっては都合がいい。病院は、でかけりゃいいってもんじゃない。

 

【書】「毀垣」キエン(No.1,442)

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「破れくずれたかきね。」(『旺文社漢字典第2版』)

「毀」は、土と、音を表す〓(キ。殳の左側に、上に白、下に米を組み合わせた形。米をつく意)の省略形(〓から米のパーツを引き抜いた形)とで、土をつきくずす意を表す。ひいて「こぼつ」意、転じて「そしる」意に用いる。

「垣」は、土と亘(セン。エンは変化した音。めぐる意)とで、家のまわりにめぐらした「かき」の意を表す。

 

【ディジタル画】『彼岸過迄』停留所 二(No.882)

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 敬太郎が友人の須永宅を訪ねると、彼より先に一人の女が須永の門を潜った。

 女は沓脱の上に下駄を行儀よく揃えて屋敷に上がったようだ。一体、須永との間にどんな文(あや)があるのだろう。敬太郎は想像を逞しくしないではいられない。

 

【昭和の風景】162

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 鬼から少し離れて、今回は宮部みゆき。

 ただいま、宮部みゆき著『氏子冥利』(オール讀物5月号)をMacパソコンで模写していて、これまでに打った字数は13679字。四百字詰原稿用紙だと34枚強に相当する。

 模写していると、作家の息遣いといったものが伝わってくる。それをひしひし感じ取れるのが模写のいいところ(だと思っている)。

 今は袋物屋の三島屋の小旦那が神田明神の沿革を語っているところ。江戸文化に造詣が深くないとあそこまで書けない。すごい筆力だ。とても敵いません。

 

【タイムラプス】5/30(火)6:38〜9:15の韮山方面の雨空。38秒。

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