和菓子食ふその口々や年の果(あ)

　きょうは公民館で「雅な遊び」を楽しんだ。
　きょう用意した雅な遊びは以下の①②③の3種目。そのうち③は決着まで時間がかかるので、①と②のそれぞれの高得点者だけを表彰することにした。
①投扇興(とうせんきょう)……紅毛氈の両端に座布団を敷き、そこから中央の的を狙って扇を投げる。点数は源氏絵巻をもとにした雅な呼び方をし、0点とか1点とか下びた言い方をしない。ちなみに最も高い得点は「桐壺」。「桐壺」は的を置いた土台に投げた扇が止まり、その上に的が乗るというもの。そんなウルトラCみたいな曲芸なんてできようはずがない。できっこないからできたらべらぼうな高得点がもらえる。
②投壺(とうこ)……矢を8本持ち、それを的である鉄(銅)製の壺に投げ入れ、壺に入った矢の本数を競う。的は3つある。真ん中の穴が比較的広くて、だから点数も低い。真ん中の穴の両隣に「耳」と呼ばれる狭い輪がそれぞれあり、狭いから入ると得点も高い。この「投壺」、中国や韓国では今でも人気の遊びなんだとか。
③盤双六(ばんすごろく)……バックギャモンが中国経由で日本に伝わり、盤双六になったと言われる。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも小道具として使われた。2個のサイコロを竹の器に入れて振り、出目に従って駒を動かす。駒の動かし方には2通りあって、2個の賽の目の出たまんま駒を2つ動かすか、出目を合計して1個の駒を先へ進めるかを選択できる。そうして、端に積んである駒が全て反対側の端に積み上がったところで勝負が決まる。もちろん、早く積み終えたほうが勝ち。
　物珍しさも手伝って、地元の新聞社も取材に来ていた。せっかく来たのだから一緒にやっていけばいいのに、カメラを幾枚か撮っただけ慌ただしく帰っていった。どういう記事にまとめるか楽しみだけど、私はその新聞を契約していないから読めない。

【今日の一枚】和菓子とお茶と一輪挿し。

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　和菓子は「栗饅頭」と「ココア味外郎」。これが手作りというんだから恐れ入る。
　十三夜月見の集い(10/8)で振る舞われた月見団子、栗羊羹も同じ人の作。私の好みかもしれないけど、甘さ控えめで市販のものよりはるかに上品な仕上がり。その方に、カルチャーセンターか何かで和菓子作り講座を開けますねと言ったら、過去に何度かやったことがあるという。そうだよなあ、これだけの腕を持つ人を放っておくわけないよなあ。
　一輪挿しの花瓶も手作り。こちらは別の方。訊いたら、活け花のお師匠さんなんですって。その方が陶芸粘土を捏ねて一つひとつ手作りされたそうで、なかなか味わい深いものがあります。これが食卓にちょこんとあるだけで華やいだ雰囲気になる。
　うちにも私が手作りした茶碗があるけど、あれ、焼酎お湯割り専用だからなあ。雅な感じから少しばかり趣が離れます。

【書】「惟一」ユイイツ（No.1,267） f:id:jijiro:20221207100659j:image
　「①これだけ。ただこれ一つ。専一。＝唯一。②誠で道を守り通す。惟精惟一これセイこれイツ[書経・大禹謨]」『旺文社漢字典』第2版）
　「惟」は、忄(心)と、音を表す隹(スイ。イは変化した音。めぐらす意→帷)とで、思いめぐらす意を表す。借りて、助字に用いる。
　「一」は、横線一本で「ひとつ」の意。ひいて、同じの意に用いる。壱(壹)と通用する。
　私の中では「一」を書くのがいちばん難しい。いまだにうまく書けたためしがない。

【ディジタル画】『それから』十の三（No.707）

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　鈴蘭の香を嗅ぎながら転寝をしていた代助が目を覚ます。そして書棚から画帖を出してペラペラ繰り始めると、ブランギンのところで繰る指が止まった。
　ブランギンは英国の画家・版画家。
　代助の手にした画帖に載っていたのは「何処かの港の図であつた」。
　その描写がすごい。
　「背景に船と檣(ほばしら)と帆を大きく描いて、其余つた所に、際立つて花やかな空の雲と、青黒い水の色をあらはした前に、裸体の労働者が四五人ゐた……」
　絵を見なくてもどんな絵かたちどころに判るような筆力で、ただただ圧倒される。