トマト植ゑ雨いかほどと庭に立つ（あ）

　小雨の中、傘をさして散髪に出かける。
　店に入ると、葉加瀬太郎似の息子さんがびっくりしたように待合ソファから飛び上がり、「いらっしゃいませ」と挨拶したものだ。なんだか、こっそりいけないことをしているところへ親が入ってきて、いきなり悪事がバレてしまったというふうで、おかしかった。
　前に散髪してもらったのは2/28だから、なんとあれから2ヶ月以上も経っている。どうせ勤めもなくなったことだし、思い切り短く刈ってもらってもよかったが、ええ〜っ？、そんなに短くしていいんですかと驚かれる息子さんに、心境を説明するのも面倒な気がしてやめた。
　いつもなら、髪を刈ってもらいながら、いろいろ世間話をするのだが、3月で中学校のお手伝いをやめたことは言わなかった。代わりにコロナを話題にした。
　最初に話題にしたのは息子さんだった。今やコロナ感染は日本全国に広がりを見せ、人口密度のさほどでもない県にまで拡大している。そんな中で、緊急事態宣言が発令された東京・神奈川と愛知に挟まれた静岡県は頑張っていると息子さんは言う。
　そうかもしれない。でもそれは、たまたまかもしれない。
　私はまだワクチンを接種していない。予約もしていない。市では準備ができたら連絡をすると言っていたが、その連絡がまだ届いていない。だから、ワクチン接種の順番を待つ間に、私を経由してコロナ感染は拡大しないとも限らない。
　いや、ワクチン接種をしなくても何事も起こらないかもしれない。それで、ワクチンを接種しないままでいて、コロナ感染が拡大したら、それは私のせいになるのだろうか。ワクチンを接種しない人は全員悪者扱いされるのだろうか。
　散髪の帰り、雨上がりの坂道をゆっくりゆっくり上りながら、そんなことを考えていた。

【今日の一枚】ミニトマトの苗。

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　去年のブログを見たら、ミニトマトの苗は5/2に植えている。今年も苗は石井米店で買ったが、去年は1本68円だったのに、今年は1本75円に値上がりしてた。それで、というわけでもないが、今年は1本減らして4本にした。
　トマトは連作障害があって、去年と同じ土だと育たない。それで園芸用の土をホームセンターで新たに買った。なんだかんだで結構な出費になったが、とれたてのミニトマトをどんぶりでいただく贅沢は捨てがたい。

【書】「臭敗」しゅうはい（No.691）

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　「くさって役に立たない。また、そのもの。」（『旺文社漢字典』第2版）
　「臭」は、もとの字は臭に作り、自と犬とを組み合わせた形。自は正面から見た鼻の形。犬は動物の中で臭(におい)をかぎわける嗅覚(きゅうかく)が特に鋭いものであるから、犬の鼻を意味する臭は「におい、におう、においをかぐ」の意味となり、「わるいにおい、くさい」の意味に用いる。今の常用漢字の字形は、犬を大に変えて臭としているが、臭は大きな自(鼻)の意味となり、「におい」という意味にはならない。→白川静『常用字解』
　「敗」は、貝(ばい)と攴(ぼく＝攵)とを組み合わせた形。攴は木の枝を手(又＝ゆう)に持つ形で、打つの意味となる。貝は南海産の子安貝(こやすがい)の形で、貴重品であって宝物とされ、古くは貨幣として使用された。この宝物を殴(う)つことを敗といい、「やぶる、傷つける。こわす、そこなう」の意味となる。→同

【ディジタル画】東横線渋谷駅（No.135）

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　昭和40年代後半の東横線渋谷駅。このモダンな駅舎は今はない。東横線のホームは地下深くに潜ってしまい、渋谷駅は副都心線と中華街を結ぶ線の単なる途中駅になってしまった。だから、電車でうっかり居眠りでもしようものなら、渋谷で降りるはずが森林公園駅という、どこそれという駅まで連れていかれることになるし、渋谷からのんびり座って行こうと思っても今はできない。座れないのは、足腰の弱ったお年寄りには辛い。
　このところ、だいぶラフなタッチで風景を描いたりしているけれど、ことに懐かしく思い出深い風景は、かえってラフな方が、噛めば噛むほどに味わいが出てくるようでいいかもしれないとも思う。第一、描いていて楽しい。
　これで約2時間。それもこれもnecojitaさんが無料提供してくれた「マルチ水彩ブラシ」のおかげです。