いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

蕾まで独り占めして花見人(あ)

 「書」に選ぶ字は『古代文字字典』のページの若い順から繰っていき、常用漢字に出くわしたところで一時ストップする。それで、その字で始まる二字熟語を、今度は『旺文社漢字典』(ディジタル版)を引いて調べ、書くべき組み合わせを決める。そんなふうにして決めた二字熟語をZen Brush 3を使って書く。
 毎日書いている「書」の説明をするとそういうことになる。説明だと何やら難しそうだが、ちっとも難しくない。

 何を好き好んでそんなことを、というなかれ。人にはそれぞれ好き嫌いがあって、私は好きだからそうやっているだけの話。甲骨文であれ金文であれ、私は古代文字の字形が好きなのだ。漢字の成り立ちがおおよそ判るし、書くたびに素朴な感動を覚え、飽きない。
 で、今日は「定」に出番が回ってきた。例によって「定」で始まる二字熟語を調べると「定離」に当たった。用例に「会者定離(えしゃじょうり)」とあり、さらに、会者定離を辞書『大辞泉』で確認すると、これは「生者必滅会者定離」と八字セットの一部で、全体では、命あるものは必ず死に、出会った者は必ず別れる運命にあるという意味になる。関連サイトでは、『平家物語』巻十に「生者必滅、会者定離は、憂き世の習ひにて候ふなり」と出ていると紹介する。
 よし、これをいただこう。3/29(月)の離任式の挨拶のことである。
 離任式は、新型コロナ感染予防策として、晴れればグランドで、雨ならZoomで各教室に映像を流す予定だと聞いている。月曜の天気予報は今のところ雨で、Zoomでの挨拶になる公算が大きい。
 Zoomなら映像バックのホワイトボードが使える。そうしたら、ここに「会者定離」と書き、読み仮名を添え、「離」にポイントを当てて話すとしよう。「離」の甲骨文を大書し、漢字の成り立ちを言う。「離」にはとりもちにかかる意味と、とりもちから離れる意味と、二通りの意味があったことを説明する。今は「離」というと、離別だけの意味でとらえられるが、そもそも漢字の成り立ちから言えば、(とりもちに)くっつく意味もあったんだと、つまりは縁あって出会うという意味も「離」という字に含まれていたんだと展開し、最後に「縁があったらまたどこかで会いましょうバイバイ」としめくくる。
 と、ここまで書いて、なんだか教案みたいになっていることにハッとする。今さら治そうにも治せない、身にどっぷり染み込んだ職業病ですね。


【今日の一枚】筋向かいのソメイヨシノ。

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 家の筋向かいにソメイヨシノの古木が4本あって、今は五分咲きくらいだろうか。

 今日は家に居ながらにして花見人としゃれた。

 あと数日もすれば残った蕾も花開き、桜吹雪が家の中まで入り込んでくる。


【書】「定離」じょうり(No.640)

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 「《仏》必ず別れること。離れるように定まった運命。」(『旺文社漢字典』第2版)
 「定」は、宀(べん)と正とを組み合わせた形。[説文]に「安なり」とあって、安定(物事が落ち着いていて激しい変化のない状態)の意味とする。→白川静『常用字解』
 「離」の音符は离(り)。离は二匹の虫が交わり連なる形。隹(とり=鳥)が黐(とりもち)にかかることを離、黐から離れ去ろうとすることも離といい、「かかる、はなれる、はなす」の意味に用いる。→同 


【タイムラプス】3月27日(土)5:46〜7:41の伊豆長岡の空。28秒。

https://www.facebook.com/100001436582002/posts/3911477608910087/


【新型コロナ】3/27(土)10:00現在(Yahoo!より)
新規感染者数→2,027(前週同曜日比 +564)
重症者数→323(前日比 −2)
累計死亡者数→9,003(前日比 +33)