いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

野紺菊風吹くままに崖の上(あ)

 休日をまったり過ごす。

 洗濯物を干しながら、たっぷり積んだ薪置き場を眺める。積んだ薪は、これから山笑う春まで徐々に減っていくが、それは、どこかしら日めくりカレンダーに似ているな、とふと思った。目に見える、この目で確かめられるというのは、どこか安心するところがあるね。

 今や生活の至るところにディジタル化の波が押し寄せ、本を読むのも電子書籍で、辞書を引くのもスマホで、買い物もPayPayでという按配だ。スマホさえあれば、本棚も財布もいらない時代になった。

 以前、そのうち子どもたちはお金なんて見たことないという時代が来るのではないか、財布がわりにスマホを持ち歩くようになるのではないかと書いたが、いよいよもってその感を強くする。

 学校には電子黒板が導入され、先生方はそれを巧みに使いこなして飽きさせない授業を展開している。この前なぞは、国語の教育実習生の授業で、朗読を電子教科書にさせていた。電子教科書だから、当然のごとく読み間違いなどあり得ない。生徒も静かに聞きながら、目で活字を追っている。それを見ていて、だけどなあ、そんなんでいいのかなあと思ってしまった。

 高校の国語の教科書にしたって、22年度から実施される新学習指導要領では、論理的・実用的な文章を扱う「論理国語」と、文学的な文章を扱う「文学国語」という選択科目が登場するという。そうなると、授業の比重は受験に有利とされる「論理国語」に偏ることが予想され、人間の機微に触れる機会を減らすことになろう。そんなんでいいのか、とここでも思う。

 人間だもの間違えることだってあるさという考えは邪として受け入れない。そんな窮屈な時代が来るのだろうか。嫌だ嫌だ、私はそんな時代には住めない。

 

【今日の一枚】庭のノコンギク(野紺菊)。

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 渋柿に絡まった蔓草を片付けようと近づいたら、ノコンギクが咲いていた。可憐な花だ。

 

【書】「角逐」かくちく(No.499)

▼Zen Brush 2

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▼Zen Brush 3

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 「たがいに力を争う。きそい合う。」(『旺文社漢字典』第2版)

 「角」は、獣のつのの形。角は角々しいものであるから、角には「かど、かどあるもの、直角の四角のもの、あらそう」などの意味がある。→白川静『常用字解』

 「逐」は、豕(し)と辵(ちゃく)とを組み合わせた形。豕は豚。辵(辶・辶)は歩く、走るの意味。豚を追うことを逐といい、すべて「おう」の意味となり、追うことから「あらそう、はしる」の意味に用いる。→同

 今回は、Zen Brushの旧バージョンと新バージョンの2種類を書き比べた。

 新バージョンは、横長の用紙サイズが見つからず、やむなく縦書きにした。テンプレートに手漉き和紙が新たに加わったので、早速それを使ってみた。

 黒と朱しかなかった墨の色も30色と大幅に増えている。が、旧バージョンにあったPNG(透明な背景)がなくなり、Procreateでの彩色ができなくなった。

 新バージョンのZen Brush 3を使ってみて、Apple Pencilのタッチ感覚がより繊細になり、さらに毛筆に近づいた印象を持った。技術の進歩はとどまるところを知らない。のだが、やはり所詮ディジタルに変わりなく、墨の濃淡と紙の滲み具合のデリケートな関係は、従来の毛筆のそれと比ぶべくもない。

 そういうことを知った上で、あえてZen Brush 3を使いこなしていこうと思う。610円は諸々の道具を揃えるのに比べたら決して高い価格設定だとは思わない。プロの書家からすれば邪道の極みかもしれないが、私はプロではないので平気。次のバージョンアップはいつになるか判らないが、少なくともしばらくはこれで楽しく遊べる。遊びは楽しくなくちゃ。

 

【タイムラプス】11月1日(日)5:37〜7:59の伊豆長岡の空。35秒。

https://twitter.com/aisakajiro/status/1323028852277354496?s=21