昨日に続いて東奥日報コラム「天地人」から。
今日はハクチョウの話。青森県東津軽郡平内町に、浅所(あさどころ)海岸という、ハクチョウの飛来地で知られる遠浅の海岸がある。
平内町は青森市の東に隣接し、津軽三味線を世に広めた名人、高橋竹山の出身地である。私はそこから温泉地を挟んで一つ青森寄りの、貧しい漁村に生まれ育った。
実は東津軽郡は、青森市の東と西の両方にあって、二つの東津軽郡に挟まれるような格好で青森市がある。というか、もともとあった東津軽郡に青森市が割り込んできたといえばいいだろうか。我が村も青森市に合併吸収されるまでは東津軽郡の字だった。
私がまだ小さかったころ、人家の角口に立って津軽三味線の演奏を披露する「ぼさま」をよく見かけた。それは大抵盲目の人で、そのぼさまが来ると母はコメを半紙に包んで渡したものだ。その門付けのぼさまの中に、もしかしたら世に名を知られる前の高橋竹山もいたのではないかと、私は今でも思っている。
さて、ハクチョウ飛来の話だが、有名な浅所海岸まで行かなくとも、私の実家があった近くを流れる川の河口でもハクチョウを見ることができた。たったの3、4羽だけだったけど、白い羽を畳んで悠然と川面に浮かぶ姿は惚れ惚れするほど美しかった。
ハクチョウの飛来は北国の厳しい冬の訪れを告げる。いよいよこれから冬支度が始まるんだな。いや、もうすでに始まっているか。
コラム「天地人」を読んで、そんな北国の今に思いを馳せている。
一方こちら伊豆は、待ちに待った薪が、ようやく10/31(土)8時に届くと知らせがあった。
9月に注文したときは、届けるのは10月に入ってからになりますがと言われていたけれど、さすがにここまで待たされるとは思わなかった。まあ、31日だって確かに10月だから別にいいんだけどさ。
これでこちらもようやく冬支度に入る。雪国の冬支度は、雪囲いやら何やらで大がかりだが、こちらはせいぜい薪ストーブの薪を積むくらいで大した手間はない。
雪の滅多に降らない土地の冬に馴染んでしまうと、もう雪国の生活はできない。あんな苦労はもうしたくない。でも、こうして故郷の冬の便りに触れると、無性に懐かしさがこみ上げて仕方がない。
【今日の一枚】十三夜の月。
今日が旧暦9月13日にあたり、今夜が十三夜であることは日めくりカレンダーで知っていた。給食にも月見団子が出た。
手元の歳時記(『角川 合本俳句歳時記』Ver2.2)には、「名月に対して後の月という。吹く風ももう肌寒く感じられるころで、華やかな名月とは違い、もの寂びた趣がある」とあり、「枝豆や栗などを供えて祀る」と続く。おお、今晩の晩酌のつまみは、期せずして枝豆(冷凍)であったぞ。
写真は公民館上の十三夜の月。
【書】「牝牡」ひんぼ(No.497)
「獣のめすと、おす。」(『旺文社漢字典』第2版)
「牝」も「牡」も常用漢字に含まれないので、当然、手元にある白川静『常用字解』に記載はない。が、「牡」の形を見る限り、「土」がオスの性器をかたどっているのは明らか。とすれば、「匕」はメスの性器を示しているかと思われるが、一説にメスのなだらかな体のラインという<https://news.livedoor.com/article/detail/14709804/>。結局、よく判らない。
【タイムラプス】10月29日(木)5:23〜7:07の伊豆長岡の空。26秒。
https://twitter.com/aisakajiro/status/1321951483684777984?s=21