いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

台風の雲間狐の嫁姿(あ)

 大型で非常に強い台風10号が九州に接近していると、テレビでは朝からずっとその情報を流していた。中心気圧は925hPaで、伊勢湾台風(昭和34年)、第二室戸台風(昭和36年)に匹敵する規模という。

 最大瞬間風速が85m/sというから、強強強強……強をいくつくっつけても足りないくらいの強風だ。もしそんなやつが我が家を直撃したら、我が家はひとたまりもない。根こそぎ持っていかれる。

 今、九州の人たちが抱いている不安は、一ヶ月後はそっくり我が家の不安になる。この時期の台風は九州を襲うことが多いが、やがてそれが次第に東へ移ってきて、伊豆を直撃する進路をとるようになるだろうことを思うと、心穏やかではいられない。

 台風は地震と違って予測できる災害と言われるが、その予測の中には持ち家が吹き飛ばされてしまうという災難が含まれる。テレビでは「身の安全を確保」「命を守ることが大事」というフレーズを連呼するが、持ち家が無くなったらどうやって暮らしていくんだと、まずその心配が先に立つ。

 とりあえず生きていれば住む家がなくたってなんとかなる、とは頭では判っていても、いざそうなると途方に暮れてしまうだろう。稼ぎがない蓄えもない独り暮らしの老人はいったいどうすればいいのだろう。そんなことを思ってしまう。なんか、長生きしたっていいことは一つもないような気がしてくる。

 人は何のために生きるのだろう。物心ついた頃からずっとその命題と向き合ってきた。そして、ここまで齢を重ねてきた。が、答えはいまだ見出せない。見出せないまま、絵を描くのを趣味としてだらだら生きている。まだ死なないから生きている。死ぬ時がいつか判らないから、それが判るようになるまでひとまず生きていようか、というふうに生きている。

 だけど、実際のところ、生きるには金がいるんですよね。

 第一、家が吹き飛ばされたら、新たに住む家を建て直すか、ヤドカリみたいに他を探すかということになるが、それには先立つものがたんまり必要になる。私にはその、たんまりがない。テントぐらいなら買えるだろうから、テント暮らしでもするか。でも、水を飲むにも、腹ごしらえをするにも、風呂に入るにも、ウンチを流すにも、全部金がいる。ああ、世の中、金金金、金がなければ生きていけない。生きるにはどうしたって金がいる仕組みになっている。

 台風が来るたびに、もしこの家が吹き飛ばされたらと心配する。台風は予測できる災害だけど、だからといって災害を防げるわけでもない。避難所に避難している間に持ち家を台風に持っていかれたら、帰る場所がないわけで、さて、その後はどうやって暮らせばいいのだろう。そのことを心配して、台風が来るとおちおち寝ていられないのである。

 

【今日の一枚】天気雨。

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 大型台風10号の影響で秋雨前線が刺激され、一日中、雨が降ったり止んだりの空模様だった。

 ぶら下がっている実は甘夏。この甘夏は、前のオーナーの時に一度台風で倒れたことがあると、数年前に南隣の奥さんが教えてくれた。それを聞いてから、台風がくるたびに再び倒れはしないかと心配している。心配しているのは、せっかくの実が落下して全部ダメになることではなく、倒れた木が近隣の家に被害をもたらさないかということを心配している。

 

【書】「水曲」すいきょく(No.445)

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 「①水の流れの曲折した所。②みずぎわ。岸辺」(『旺文社漢字典』第2版)

 今にも倒れそうな骨皮の老体が、やっとこさソファにたどり着いた図か。まさに明日の我が身だ。

 

【ディジタル画】金髪の少女(No.81)

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 久々の「ディジタル画」です。今回は着ている服の模様がシンプルだったので、約1時間半で仕上がった。

 

【温泉】雨につき内風呂で我慢。

 

【タイムラプス】9月6日(日)5:02〜7:33の韮山方面の雨空。

https://twitter.com/aisakajiro/status/1302732747417419777?s=21