いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

薫風は野を駆け巡つて川分かつ(あ)

 学校は今日から「慣らし授業」が始まった。学校が再開されるのは正式には6/1(月)からだが、その一週間前に体を慣らしておこうというわけだ。私は今週まで自宅待機で、来週から出勤になる。

 そこで今日は、私もなまった足腰を慣らすべく、自主的に狩野川の土手を歩くことにした。

 歩き始めてすぐ、孫と筍を掘った空き地の脇に「ウツギ」が咲いていた。「ウツギ」は別名を「卯の花」と言う。♪卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて♪(佐々木信綱作詞)と歌われる「卯の花」ですね。『枕草子』(99段)には、清少納言たちが郊外へホトトギスを聞きに行った帰りに、道端に咲いていた卯の花を牛車に飾ったという話が見える。

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 「卯の花」の道を左に折れると観光バスが往来できるほどの広い道に出る。そこを右折して道をさらに下ったところに地区のゴミ収集所があるのだが、その広い道にぶつかる角のお宅の庭石の隙間から「コエビソウ」が覗いていた。「コエビソウ」に漢字を当てると「小海老草」で、見たまんまの通りに小海老の格好をしている。

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 そして、庭石の下のU字溝とアスファルトとの隙間からはオルレイヤが茎を伸ばして咲いていた。打ち上げ花火がドーンと上がって開いたような形の花で、こういう場所に咲くにはもったいないくらいの気品がある。

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 いずっぱこの踏切を渡り、続いて下田街道を渡る。200mほどまっすぐ行った先が狩野川の土手になるが、その手前の道端に赤と白の「カワラナデシコ」が咲いていた。「カワラナデシコ」はこの場所でしか見ないから、ここの畑の持ち主が栽培しているのだろう。きれいだけど、それだけではない跳ねっ返り娘の強情さを併せ持つ花で、日本女子サッカーの「なでしこジャパン」のイメージにぴったり。

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 狩野川の土手に上がる手前に咲いていたのが「ウスベニアオイ(薄紅葵)」。最初、グラジオラスだと思ったが違った。グラジオラスは亡き母が好きだった花で、実家の畑の脇に植えてお盆のお墓に供えていた。背筋をすっと伸ばした感じがグラジオラスに似てなくもないが、やっぱり違う。が、母を偲ぶよすがは同じ。この花を見ていたら生前の母の思い出がよぎった。

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 土手に上がり、狩野川の流れを見ながら上流へ向かう。初夏の風が清々しい。橋のたもとの保育園からは元気な園児のはしゃぎ声が聞こえてきた。そう、そう、コロナなんかに負けるなよ。

 橋を渡って向こう岸に出る。向こう岸は一塊岩になっていて、狩野川の流れはそこへぶつかり川底を深くえぐっている。ちょうど一年前、入学したばかりの1年の女の子が水難で命を落とした場所である。

  その岩にへばりついていたのが「コマツナギ」。最初は葛の花だと思った。が、葛の花が咲くのは秋で、季節が違う。「花しらべ」で調べたら、「コマツナギ」と出た。漢字を当てると「駒繋」。「小松菜」ではなかった。

 名の由来は2説あり、「太くて逞しい根が地中に張り巡らされるため、枝に馬(=駒)を繋ぎ留めることができることに由来するという説と、葉が馬の大好物であり、馬がこの木から離れなくなることによるとする説がある」<https://www.uekipedia.jp/落葉広葉樹-カ行/コマツナギ/>そうだ。同サイトでは後者の説が有力視されるとあるが、私の感じは前者に近い。

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 「コマツナギ」の咲いていたところから馬頭観音を舐めるようにカーブした斜面に咲いていたのは「イタチハギ(鼬萩)」。これは初めて見ました。もちろん名前を知ったのも初めて。

 結構群生するんですね。でも、ここだけ。ここまで歩いてきた狩野川右岸にはなかったし、この後歩く左岸にもありませんでした。

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 大門橋とその下流の千歳橋の間の両岸土手を一周するように歩いて約1万歩。散歩にはちょうどいい距離です。

 

【タイムラプス】5月25日(月)5:04〜7:36の伊豆長岡の空。37秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10223070379210075/?d=n