いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

煎餅の焼くる匂ひや津軽の秋(あ)

連休明けの職員室の話題は、台風19号が残した爪痕で持ちきりだった。

中に指定避難所に避難したという人がいた。ところが、行った避難所は定員オーバーで避難できなかったという。それでどうしたか。その人は、なんと高級温泉ホテルに泊まったそうだ。そのホテルは今年3月に職場の送別会が行われたところで、高い場所にあったが、費用もそれなりに高かったと言っていた。

かと思えば、三島から車通勤をしている人の話によると、途中とおってきた宗光寺付近の水浸し跡が、これまで見たことのないような酷さで驚いたとのこと。私が10/13(日)に一二三荘の女将さんから水浸しになったと聞いて、帰りにわざわざ遠回りして見に行った場所である。そのときはすでに暗くなっていて辺りの様子がどうなっているかは確認できなかったが、今朝は、水が引いた川に流された倒木がまだ横たわっていたと言う。おそらくそれで流れが塞がれ、行き場のない川の水が水田に流れ込んだのだろう。

職員室のフリーの机に置かれた「伊豆日日新聞」を見たら、一面に水浸しになった宗光寺地区の様子が写真で載っていた。私の家から坂を下りきった一帯がまるで海のようになっていて、その奥に見える狩野川は、土手を越えて街に流れ込む一歩手前まで膨らんでいた。もう少し雨が続いたら、狩野川とて持ちこたえられなかったろうと思われる。本当に紙一重のきわどさでした。

 

【今日の一枚】いただきものの津軽煎餅。

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青森で煎餅といえば南部煎餅が有名だが、どっこい津軽煎餅だってある。南部煎餅の焼き方はほぼ伝統を受け継いでいるが、津軽煎餅の方は伝統の型にとらわれない趣向が見られ、どちらが好みかといえば、私は津軽煎餅の方が好みである。

津軽煎餅は、先日、青森の高校の同級生の遺影にご挨拶をしに行ったお返しとしていただいた。いわゆるゴマ煎餅なのだが、ゴマが煎餅の裏にもふんだんにまぶして美味。「やめられない、止まらない」はかっぱえびせんのキャッチフレーズだが、このゴマ煎餅もまた、食えば、やめられない止まらないのである。

私の生まれ育った田舎は、陸奥湾に面した半農半漁の貧しい村だったが、小学校までの通学路(国道4号線)に煎餅屋さんが一軒あった。そこで焼かれるのは津軽煎餅ではなく南部煎餅だったが、店の前を通るといつも煎餅を焼く香ばしい匂いがした。その店ではタバコも売っていたが、それだけでは生計が立ち行かなかったらしく、東北本線が複線化される前に店を畳んだ。

思えば当時、村にはいろんな匂いがあった。浜に干された漁網のしょっぱい匂い、側溝に転がったビー玉を素手で拾ったドブの臭い、稲刈りを終えた田んぼで焼く籾殻の野焼きの匂い、藁に染み込んだ肥溜めの臭い、荷車を引く馬が道に垂らす馬糞の臭い、などなど。田舎の香水と呼ばれたそれらの匂いは、今や思い出の中にしかない。

 

【書】「冬」トウ・ふゆ(No.269)

▼甲骨文

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▼金文

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編み糸の末端を結びとめた形。甲骨文字・金文の字形は末端を結びとめた形であるが、のちその下に〓1(ひょう)を加えて冬となった。冬がその音を仮りる仮借(かしゃ)の用法で四季の名の「ふゆ」の意味に用いられるようになって、糸の末端を示す糸へんを加えた終の字が作られた。冬は終のもとの字である。<『常用字解』より>

〓1(『超漢字』画像)↓

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甲骨文は、ウルトラマンの顔の上部で、金文は、ミニオンスチュアートの人形みたい。

 

【温泉】一二三荘。

 

【タイムラプス】10月15日(火)5:48〜7:21の韮山方面の雨空。23秒。

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