いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

絶滅の危惧の花寺春惜しむ(あ)

私が青森へ来るというので、昨日、高校の同級生が臨時にクラス会を開いてくれた。私が前にクラス会に出たのは(過去のブログを見たら)4年前になっていた。そうか、4年も顔を出していなかったか。

f:id:jijiro:20190422093832j:image

昨日集まったのは私も含めて7人。大いに飲み大いに食い、そして大いに昔話に花を咲かせた。ただ、クラス会にはどんなことがあっても顔を出していたあいつの顔がそこにはなかった。

あいつは大学時代、東京の自由が丘のアパートに下宿していた。私は高校の同級生とシェアで上野毛に一軒家を借りていた。田園都市線一本で行き来できる場所にあったので、互いによく行ったり来たりしていた。金がない割にはよく自由が丘のガード下の赤ちょうちんで呑み、青臭いことを語ったものだ。

私が大学を4年で卒業できないことが判り、どうせ卒業できないなら教員免許を取ってやれと、そのまま大学に籍をおいて学習塾の講師をしながら生活していた5年目の大学である。その頃、二年遅れて大学に入ったあいつは3年生になっていた。上野毛で一軒家をシェアしていたやつが青森に就職先を見つけてのちは、私は下宿先を新丸子の安アパートに移し、教育実習までまだ二年あるんだったらその間に書道の免許も取ってやれと、重い硯を抱えながらせっせと出席を重ねることにした。そして、これもついでにと考古学とか美学とかの講義を履修したりしていた。

あのときは、入学した年度の授業料のままに年10万そこそこであらゆる講座を受講できた。だからそれを利用して、時間割に空きが生じないように片っ端から講座を埋めた。それもこれも、将来教員になるんだったらどれもが身につけておくべき教養だという気がしていた。

私が新丸子に下宿先を変えたものだから、今度はあいつは自由が丘から東横線で新丸子までやってくるようになった。新丸子にはコインランドリーがあったから、何日か分の洗濯物をバッグに詰めて通っていた。自由が丘にコインランドリーがなかったからとあいつは言っていたが、自由が丘にないわけないだろうと疑いつつあいつにそのことは言わなかった。当然、新丸子でもよく呑んだ。

そんなあいつがビギナーズラックで万馬券を当てた話は前に書いたからここでは触れない。私の大学の先輩が経営する渋谷のレストランのアルバイトをあいつに斡旋し(私の後釜として)、そこで可愛がられたということだけ触れるにとどめる。

f:id:jijiro:20190422093859j:image

ともかく、あいつと過ごした東京での生活はとても濃いものだった。そんなあいつに永遠の別れを告げなければいけない日がこんなに早く訪れるとは思っていなかった。あいつはもういない。いないんだ。会って呑もうにも、もうこの世にはいないんだ。そんな思いを引きずりながら青森をあとにした。

友よ、あの世でいつかまた呑ろう。車窓の八甲田山を眺めながら、そう心に刻んだことだった。

 

【季節の花】キクザキイチゲ(菊咲一華)

f:id:jijiro:20190422093943j:image

昨日、亡友の寺を訪ね、奥さんにお暇を告げて寺を辞すときに、本堂前の道端に咲いているのを見つけた。初めて見る花で、なんという名の花だろうと「花しらべ」で検索したら、そのときはオダマキとかクレマチスとか出た。さすがにそれは違うだろう、後で拡大してもう一度検索し直そうと思い、今日改めて検索したらキクザキイチゲと出た。花の形がイマイチ自信なかったが、葉の形がまさしくそれなので、キクザキイチゲと断定。

キクザキイチゲは、北海道、本州の近畿地方以北に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。(中略)キクに似た花を一輪つけることからこの名がついた。<Wikipedia>

山梨県など複数の都道府県で、レッドリストの絶滅危惧I類や絶滅危惧II類などの指定を受けている<同>そうだ。ということは、この日はなかなかお目にかかれない貴重な花を見たことになりますか。

亡友が、伊豆から別れの挨拶に行った私を、この花を咲かせて待っていてくれたような気がした。もちろん、そんなことがあろうはずはないのだが、この花がそんな貴重な花だったと知り、どこまでも気を遣うあいつらしいやと思ったことだった。

 

【書】「逆」ギャク・ゲキ・さか・さからう・むかえる(No.101)

f:id:jijiro:20190422094003j:image

音符は屰(ぎゃく)。屰は大(手足を広げて立つ人を正面から見た形)を逆さまにした形で、向こうから来る人を上から見た形。道を歩くという意味の辵(ちゃく=辶・辶)を加えた逆は、進むとは逆の方向で逆(むか)えるの意味となる。のち、屰は大を逆さまにした形であるから、順逆(順序が正しいことと逆であること)の意味に使い、すべて道理に反することを逆といい、「さからう、そむく」の意味に用いる。

歌舞伎役者が狐に化けて、いや逆か、狐が歌舞伎役者に化けて、キッと見得を切っている顔に見える。そんなふうに見えるから、そんなふうに見えるように書いた。ええ、すっかり遊んでます。