いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

皿に盛る菜に日の射す四月尽(あ)

身近の人の告別式。
身近の人の眠る棺に花を手向け、心の中でサヨナラとつぶやく。棺の中が花で埋め尽くされ、最後に残った祭壇の花を喪主である奥さんが、眠る人の耳元にそっと添えた。その手をそのまま眠る人の顔へ滑らせ、冷たく固くなった額を撫で瞼を撫で頰を撫でた。気丈にも悲しみをこらえていたけれど、指先がかすかに震えているような気がした。
「もう結構です」と奥さんが葬儀場のスタッフに告げ、棺は蓋された。会葬者へ向けての奥さんのご挨拶は心のこもったもので、ご多忙の中お別れに駆けつけてくれたことへの感謝に始まり、あまりに突然で理不尽な運命の最期に、いちばん無念に思っているのは棺に眠る本人だと言ってマイクを妹さんに渡した。まだまだ言いたいことがたくさんあったようだけど、うまく言葉にならないといったふうだった。
棺は霊柩車で市の火葬場まで運ばれた。棺が火葬炉の中へ消えて行くのを手を合わせて見送る。ここでもサヨナラと心につぶやいた。そして、一条の煙となって昇天する身近の人の魂を思った。
焼骨までの約1時間を、用意された控え室で待つ。そこで、控え室の窓側奥に座ろうとした奥さんの体がぐらりと傾いて畳に崩れそうになった。付き添っていた妹さんがとっさに奥さんの体を抱き抱えたが、奥さんはここで精も魂も尽きたというふうだった。
独り残された奥さんの今後が心配だが、心配するだけで私には何もできない。せめて線香をあげに行くのがせいぜいである。


【写真】ビジネスホテルの朝食。

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朝食時間は6:30〜9:00で、混雑を避けるなら早めの時間に行った方がいいと口コミにあったから、始まりの時間に合わせて食事場所へ行ったら既に長い列がフロント近くまで伸びていた。行列だったが、土曜泊の朝食付きで5,696円ならよしとするか。でも、部屋では上階のトイレの水を流す音が聞こえたので星3つにしておく。


【絵日記】吉永小百合(No.12)

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4月26日に帰らぬ人となった身近の人は、生前、吉永小百合と誕生日が一緒だと言っていたが、実際には身近の人の方が14日遅い。
それにしても73歳にしてなおこの美貌はたまげる。
「たまげる」と書いたが、これ、津軽弁だとばかり思っていたら違った。青森出身のブルースの女王が存命の頃、何かのCMで「大したたまげた」という言い方をしていて、それで津軽弁だと勘違いしていた。
漢字を当てると「魂消る」と書く。語源由来辞典のサイトには「魂が消えるほどの思いから、驚きを意味する言葉として江戸時代から使われている」とある<http://gogen-allguide.com/ta/tamageru.html>。