いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

寒風に震ひ野牡丹濃紫(あ)

【写真】紫紺野牡丹。

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いつもの床屋へ行ったら3台駐められる駐車場が2台分ふさがっていた。1台分空いたところにバイクをデンと駐めるのも気が引けて、その奥の植え込みの脇にバイクを突っ込んだら、そこにこの花が咲いていた。

初めて見る花である。以前、岸恵子似のお母さんが庭の植え込みに水をやっていたけど、きっとこの花もお母さんから水をもらっていたんだろうな。店に入ってお母さんに訊いたら花の名は容易に判るだろうと思ったが、とりあえず自分でも「花しらべ」で調べてみることにした。

「花しらべ」で調べても花の名を特定できないことはままあるが、この花はくっきり鮮やかだから特定できる予感がした。で、調べたら第一候補に「紫紺野牡丹」と出た。よし、それで合ってるかどうかお母さんに確かめよう。

店に入ったら、3台並んだバーバーチェアーのうち道路側をお父さん、真ん中をお母さんが担い、奥のチェアーが空いていた。さながら駐車場に駐められた車の並びのよう。

私が店に入るのとほぼ同時に息子さんが奥の部屋から出てきて私をチェアーに促す。お父さんのポジションは定位置だが、真ん中にお母さん、奥に息子さんが立つのを見るのは初めて。それぞれが担当するチェアーはてっきり固定されているものとばかり思っていたらそうでもないらしい。

「では、いつもどおりで」と息子さんに言われ、「お願いします」と返す。いつもと変わらぬ挨拶だが、この「いつもどおりで」という響きに、私も地の人に徐々に受け入れられてきているような気分を感じて嬉しく思う。

総じて伊豆の人は親切で、世話焼きで、優しい。私が伊豆で暮らすようになってから知り合いになった人はすべてそういう人ばかりだ。その昔、伊豆は都からの流刑地であった歴史があり、土地の人がその人たちの世話を焼いたところから、そういう人柄が育まれたのかもしれない。

「バイクを駐めたところに紫色のきれいな花が咲いていたけど、あれは何という花ですか?」と息子さんに訊いてみた。「野牡丹です」。そう答えたのは息子さんではなく隣のお母さんだった。

ハッとした。私は「花しらべ」で「紫紺野牡丹」だと予習したが、何とはなしに「紫紺野」「牡丹」と区切って理解していた。つまり「紫紺野」という牡丹の種類なのかと。

それはたぶん、額田王の「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」という歌の「紫野」に引っ張られた誤解だった。思い込みというのは恐ろしい。お母さんの「野牡丹です」という答えで、正しくは「紫紺」色の「野牡丹」という種類の花だと知った。


水墨画】山梨・氷室神社参道(No.107)。

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鬱蒼とした杉林は、手前を濃く後方を薄く描くという基本を十分意識。

中央の鳥居が正面に収まりすぎてやや不満。もう少し斜に構える格好にして変化を持たせるべきでした。


【温泉】あやめ湯。


【タイムラプス】12月1日(金)6:27〜7:53の伊豆長岡の空。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10214880609030939/

【歩数】4,573歩。