いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

ひと匙にすくふ思ひ出秋深し(あ)

【写真】おぬいばあさんカレー。

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昨日の給食に「おぬいばあさんカレー」が出た。「おぬいばあさん」は、言わずと知れた井上靖しろばんば』の主人公・洪作のおばあさんのことだが、その名を冠したカレーが給食メニューになっているとは知らなかった。
次は、『しろばんば』のカレーが出てくるシーン。
「通知簿を貰う日は、いつもおぬい婆さんは、彼女の最も自慢の料理であるライスカレーを作った。ライスカレーはいつもカレーの沢山 はいったのと、カレーの少ししかはいらないのと二種類作った。洪作はおぬい婆さんとライスカレーを食べるのが好きだった。
「坊、食べてみな。辛い、辛いぞ。眼から涙が飛び出すぞ」
おぬい婆さんは言った。洪作は薄い方のライスカレーだったが、それを食べる時はそうするものであるかのように、一口口に入れてみて 、すぐ、
「おお、辛い!」
と、顔をしかめてみせた。」
(略)
「おぬい婆さんの作ったライスカレーは美味かった。人参や大根や馬鈴薯を賽の目に刻んで、それにメリケン粉 とカレー粉を混ぜて、牛罐の肉を少量入れて煮たものだが、独自の味があった。時々上の家でも作ったが、それとはまるで違っていた。 いつか洪作は上の家でさき子の作ってくれたライスカレーを食べて、
「おばあちゃんの方がずっと美味いや」
と言って、さき子の機嫌を損じたことがあった。」
ここに登場する「牛罐」とはコンビーフのことだと給食を食べて判った。私にとってもコンビーフは子どもの頃に食べた懐かしい食材である。どんな料理の中に混ざっていたかは覚えていないが、少なくともライスカレーの具には含まれていなかったように思う。
母の作るライスカレーは脂身の多い豚肉を使用した。ルウは、おぬいばあさんと同じで小麦粉とカレー粉を混ぜ合わせたもの。ある時、ルウを作るのを任されたことがあった。私から作りたいと母に頼んだかどうかは覚えていない。その頃は味加減など知る由もない子どもだったから、ともかくカレーの味がすればいいやくらいにしか思っていなかった。それでも母が美味しいとも不味いとも言わず黙って食べてくれたことを思い出しながら、給食の「おぬいばあさんカレー」をスプーンですくってしみじみかみしめた。子ども用のカレーだから私にはだいぶ甘く感じたけれど、それでもやはり、どこか懐かしい味がした。

水墨画】光悦寺(No.80)

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光悦寺垣というのがあるという。本阿弥光悦が考案した竹垣と伝えられ、枠を半月状に曲げてその中に菱形の格子を組んでいる。<http://www.uchiyama.info/oriori/kentiku/kakine/kouetsuji/
手本の絵は遠近法で左側がすぼまっているとばかり思っていたが、どうやらこれが光悦寺垣というやつで、実際に半月状に曲がっているのらしい。そんなことも知らずに模写している。

【温泉】あやめ湯。

【タイムラプス】10月27日(金)5:36〜7:40の伊豆長岡の空。31秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10214586677562836/

【歩数】5,177歩。