いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

夕凪やステンドグラスの紫の(あ)

午後1時過ぎ、孫がやって来た。

和室で水墨画に苦戦していると、車からカミさんの声が聞こえ、孫たちの降りる気配がした。孫たちは、じきに「じいじ、来たよ」と玄関から元気に入って来ると思ったら、私の見ている前を忍者のごとく小走りで通り過ぎた。お兄ちゃんは背中に剣を背負い、手に拳銃を持っている。孫娘は真っ赤なワンピースで、武器は携えていなかったが、従順な家来の「くノ一」といった按配でお兄ちゃんに続く。玄関から入らず裏へ回って、そっちの縁側から入る魂胆らしい。むむ、そっちの鍵が開いているのを、どうして知ってる?

8畳洋室の座卓にはガラス絵具を全色置いてあった。今度孫が来たらこれでステンドグラスを描いてもらおうと、100円ショップで買っておいたものである。

そのガラス絵具を目ざとく見つけた孫娘は、早速食いついてきた。「じいじ、これで絵(を)描きたい」。作戦大成功しめしめ、である。

最初は2階のはめ殺しのガラス窓に直接描いてもらおうと思っていたが、絵具を買う時にうまい具合に手芸コーナーに透明シートを見つけ、これはいいと絵具と合わせて買っておいた。

孫娘がガラス絵具で絵を描いているところへ、テレビゲームを始めようとしていたお兄ちゃんも加わる。さすがのお兄ちゃんも、妹がもこもこ絵具で楽しそうに絵を描いているのを見て、自分もやってみたくなったのだろう。

ところが、お兄ちゃんはシュールな1枚をあっという間に仕上げたかと思うと、そそくさとゲームをしに部屋を出て行った。やっぱりゲーム機には勝てなかったか。

ついでに私も1枚描いてみた。お兄ちゃんの肖像画のつもりで絵具を垂らしていったら、似ても似つかぬ面相になり、無理に修正したら怪しいラテンアメリカ系の顔になった。

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なんでそういうことになったのだろう。頭の片隅にラテンアメリカへの憧憬が潜在的に宿っていたのだろうか。そんなことはあり得ない。私は彼の地に憧れたことなど一度もない。

それにしても、絵を描くということだけ取ってみても、油絵、水彩、淡彩、水墨、色鉛筆、パステル、クレヨンなどなど、いろんな描き方があるもんだと改めて思う。そんな中で、私がいちばん難しいと感じるのがただ今取り組み中の水墨画。これをまともに描けるようになるまでには、いったいどれくらいの歳月を費やすことになるのかと途方に暮れるほどである。きっと生きているうちには無理だろうと思えるくらい、それだけ水墨画の技術習得は難しく絶望的なものに感じている。

ああ、水墨画なぞに手を染めるんじゃなかった。もっと身の程を知るべきだった。


【写真】孫がガラス絵具でステンドグラス絵に取り組んでいる様子。

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水墨画】大菊(No.5)

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今回は、葉にも彩色してみた。しかし、なんか薄っぺらい感じになって、思うような効果が得られない。やはり、水墨画の魅力は墨の濃淡で立体感を表すことにあると知った。


【タイムラプス】7月30日(日)6:16〜8:17の伊豆長岡の空。30秒。

https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10213844490488623/



【歩数】385歩。