朝、ごみ収集所に行く途中で、路面に蝉がひっくり返っていた。近寄って見ると、これがニイニイゼミ。足をもごもご動かしている。あまりの暑さに頭がくらくらして幹から落っこちたか。
自力で体勢を立て直そうともがいているのか。よしよしならば助太刀いたそうと、指で摘んであるべき姿に戻してやった。もう飛ぶ力はなさそうだった。
2、3枚ばかり写真を撮っていると、背後の家から人が出てくる気配がした。声がない。路面に這いつくばって何をしているのだこの人はと、きっとそんな目で私を見ているのだろうと思って、ぱっと立ち上がり「実はニイニイゼミが……」と、自分のしていたことを説明する。その人は左手にゴミ袋を提げ、右手に日傘を持った年配の女性だった。
並んでごみ収集所まで歩く。
「毎日暑いですね」と女性。
「ほんと、暑い日が続きますね。朝からこんだけ暑いと、ゴミを捨てるのも容易じゃありませんね」と私。
「そうですねえ、お宅はどちら?」
「何と言えばいいでしょう、この(坂の)上のホテルの近くです」
「あっ、そう、2丁目?」
お宅はどちらと訊かれて、目安となる建物を言うとおおよその見当をつけてもらえると思ってホテルのことを言ったが、相手が知りたかったのは番地だったみたい。ホテルも同じ2丁目なんだが、ホテルのことはご存じなかったのだろうか。
あのホテルの知名度はイマイチらしい。駅前のタクシーの運転手も知らなかったりする。津軽三味線教室と山魚亭の方がよほど知名度が高い。
こちらはアブラゼミ。ゴミを捨てた帰りに、それこそホテル横の道で、こちらは息絶えていた。ニイニイゼミと違って珍しくも何ともない蝉だが、せっかくだから写真を並べてブログに載せておこうと思って撮った。
日中こいつが鳴き出すと、いやが上に暑苦しさを増す。それに比べて、ニイニイゼミやヒグラシは鳴き声が涼しげでいい。
私は床を敷く部屋の窓を開け放して寝る人だが、今は、朝4時20分にヒグラシが鳴き出すと布団をたたみ、5分後にニイニイゼミが鳴き出すとお湯を沸かしてコーヒーを淹れる。窓辺に座ってコーヒーを飲みながらメールをチェックしていると、そのうちウグイスが鳴き加わる。これが4時30分。誰が決めたわけでもないが、鳴く順番は必ずそうなるから面白い。
こうして天然の癒しを浴びながら過ごす2時間が、一日のうちでいちばん頭が冴える。ブログを書くのもはかが行く。
しかし、6時30分を回るともういけない。アブラゼミがけたたましく鳴き出す。そうなると、ヒグラシもニイニイゼミもすっかり鳴りを潜め、後はすっかりアブラゼミの独壇場となる。
芭蕉の句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の「蝉」はニイニイゼミかアブラゼミかという論争があった由だが、私は「しみ入る」のは、ニイニイゼミの声でなければいけないと思っている。アブラゼミだとやかましすぎて思考が乱れると思っているのである。
【淡彩画】路面電車(No.139)
ポイントは「横から見れば長い車体でも、正面近くから見ると側面は縮んで短く見えることに気をつけて、よく確かめながら描く」こと。
車体後部の屋根が高すぎる。この部分だけ遠近法で描かなかったのはどうしたわけか。あと一枚描けば手本の模写は終了となる段階になっても、なおこんな初歩的なミスをするなんて情けない。基本に立ち返って、もっときちんと確かめながら描かないといけない。
【水晶苑】13:09〜16:15
建材氏と白番で2敗、黒番で1勝。白髭氏に3子置いて負け。
【タイムラプス】7月21日(金)5:34〜7:42の伊豆長岡の空。31秒。
https://www.facebook.com/aisakajiro/videos/10213750181090947/
【歩数】2,850歩。