いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

訪へる人なき庭の躑躅かな(あ)

田京駅から三島寄りの踏切の角に「長谷の杜」という看板がある。「ちょうこくのもり」と仮名がふってある。普通「ちょうこくのもり」と言えば箱根の「彫刻の森」を思い浮かべるが、「長谷の杜」は箱根のそれにあやかって付けた名称なのか、それとも「ちょうこくのもり」の元祖はこちらなのか、それがずっと気になっていた。
昼食を田京の「大連」(マーボナス丼520円)で摂ったあと、まだ行ったことのない近場へバイクで行ってみようと思った。それで思いついたのが「長谷の杜」。「長谷の杜」ってどんなところだろう。看板のすぐ下に「蔵春院」とあったが、それとの関係はどうなんだろう。
田京駅前から山の方へバイクを走らせ、水の張られた棚田の脇を通って奥へ進む。

f:id:jijiro:20170522133209j:plain

5分ほど走ったら「不許葷酒入山門(葷酒山門に入るを許さず」と刻まれた石標が見えた。寺の山門によくあるやつです。「葷」はニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウなどの精のつく野菜のことですね。そして小さな石橋を挟んだ右側に「長谷山蔵春院」の石標が立っていた。駅から意外に近かった。

f:id:jijiro:20170522130258j:plain

辺りは鬱蒼とした杉林で、その杉林の向こうに本堂が見える。小さな山寺を想像していたが、なかなか立派な構えである。案内板に、開創は永享11(1439)年とあるから室町時代に建立された古刹だ。

f:id:jijiro:20170522125734j:plain

ところで「長谷の杜」は? これは帰宅した後でネットに当たって知ったことだが、「長谷の杜」とは、何のことはないペットのお墓のことだった。知ってしまえば、なぁんだ、なのだが、もっと違う何かを想像していた私はちょっと拍子抜け。それにしても「ちょうこくのもり」と名乗る心根が(わざわざ読み仮名までふって)、ちょっといただけない気はした。
本堂から石標のところに戻って写真を撮っていると、向かいの家の人が指でシャッターボタンを押す仕草をして私に近づいて来た。下條正巳(「ふうてんの寅」の三代目おいちゃん役)似のその人は、写真かい? ここへ写真を撮りに来る人は結構いるよと話しかけ、寺の石段を毎日掃き掃除しているから落ち葉一つ落ちてないと自慢を始めた。寺から頼まれたわけでもなく自主的にそうしているのだと言う。
滝は撮ったかと訊くから、えっ? 滝があるんですかと答えると、ほれこっちと滝の見えるところまで案内してくれた。見ると高さ3mほどのかわいい滝。でも、苔むした杉林にそれはそれで絵になっていた。

f:id:jijiro:20170522131037j:plain

その人はその後、寺の歴史のこと、脳溢血で倒れてから車の運転をやめたこと、寺の向かいへ引っ越して来た当時のこと、杉林で冬は陽の差すのが遅いこと、山門の二体の仁王像は中国製であること、川をコンクリートで固める前は蛍が飛んでいたこと、本堂をもっと上った先にマムシが多くいること、イノシシやシカが畑の作物を食い荒らすことなど、ふらっと訪ねた私を逃すまいの物腰で延々と話を続けたものだ。
そうやって30分も話を聞いていただろうか。とても面白い話で聞いていて楽しかったが、水晶苑に行く時間になったこともあり、ではお元気でと挨拶をしてその場を後にした。

【写真】玄関脇のキリシマツツジ

f:id:jijiro:20170522165718j:plain

今年は昨年より花の数が多い気がする。気のせいかな。キリシマツツジが終わる頃に今度は紫陽花が咲く。紫陽花が終われば、ムクゲサルスベリが咲き出す。こうして一年中花に囲まれて暮らすなんて、伊豆へ来るまではまるで考え及ばなかったけれど、実際に花に囲まれているとなんとなく心も潤ってくるような気がします。

【淡彩画】奥行きのある小路(No.85)

f:id:jijiro:20170523052028j:plain

ポイントは「板塀や漆喰壁に挟まれてまっすぐ奥に続く小路は、遠くに向かってすぼまるように描く」こと。
いわゆる遠近法ですね。
緑の茂みや空の描き方のコツもだいぶつかめるようになってきた。
特に空の雲を描く時は綿棒を欠かせない。右手に絵筆を持ち、左手に綿棒を持って、青色を塗ったそばから綿棒で雲の形を作っていく。この手法は、ハガキ大の小さな絵を描く時に大きな効果を発揮する。

【水晶苑】15:27〜16:16(6→3人)
行ったら看板氏が先に来ていた。私のすぐ後にクラリネット3時半氏が入って来た。それで話題は自然に昨日の演奏会の話になる。次回の演奏は27日(土)修善寺駅舎でやると言っていた。いろんなところでやるんだね。行きたいけど、その日は孫の世話の予定。ん〜、残念。

【タイムラプス】5月22日(月)6:06〜8:14の伊豆長岡の空。32秒。

【歩数】1,254歩。