午前11時過ぎ、洗濯を終え、藤沢に戻る支度をして床屋へ行く。
前回、床屋に行ったのは昨年の12月初めだとばかり思っていたが、ポイントサービスのカードを見たら前回の日付が11月16日になっていた。2ヶ月以上も床屋に行っていなかったのでした。
店に入ると、ややあって壁の向こうから階段を降りてくる音が聞こえ、岸恵子似のお母さんと葉加瀬太郎似の息子さんの二人が顔を見せた。私と認めると、お母さんが残り息子さんが奥へ引っ込んだ。ということは、私の散髪はお母さんが担当することになっているわけだな。
お母さんに早速、吉奈温泉に行ってきたことを話す。お母さんは吉奈の出身であると前に聞いた。いいジジイ二人が足湯に浸かってパンを食べる図なんて想像つきませんよねと言ったら、うふふと笑っていた。
あそこから小学校まで通うの大変だったでしょうと言うと、ええ、(小学校まで)30分かかりました、寒い日は囲炉裏で石を焼いて、それを新聞紙にくるんで持って行ったりしたんですよ、昔はホッカイロなんてなかったですからね、と懐かしそうに話してくれた。
こういう話を聞くのはとても楽しい。最近は千円でカットしてくれる店が増えたが、そういう店ではこんな話は聞けない。やはり昔ながらの床屋さんならではの味わいである。これからも昔の伊豆のことをいろいろ聞きたいものです。
床屋を出たのが12時過ぎ。田京駅で上り電車に乗ったら次の電車が特急踊り子号だと分かり、隣の伊豆長岡駅で一旦降りて踊り子号を待つ。
踊り子号は三島駅まで普通料金で乗れる。電車移動の時は大抵iPhoneをいじっているのだが、今日はいじらないで車窓を流れる景色を楽しんだ。外は冬の名残の北風が吹き荒れていたが、心なしか山肌に春めいた匂いも感じられた。
小田原駅で普通電車に乗り換える。三島から小田原までの特急料金は650円。昼飯を特急に食われたといったところか。
茅ヶ崎駅で降りたのが午後2時半。そこから歯医者までは歩いて15分。予約は3時に入れてあった。結局、昼食は摂らなかった。
診察台で順番を待つ間、庭の紅梅を眺める。3分咲きくらいだろうか。強風に枝がゆさゆさと大きく揺れている。ここの歯医者の梅の枝ぶりは実に見事という他はない。これをお手本にして伊豆の庭の梅もかっこいい形に仕上げたいのだが、どこをどう整えたらいいものやらさっぱり分からない、のである。
治療を終えて、若先生が私の顔をまじまじ見つめ、次いで喉の奥を覗いて言う。「寝ていて鼾をかきませんか? 」。
質問の意図をはかりかねながら「自分ではよく分からないけど、もしかしたら、かいているかもしれません」と答える。
「いわゆる、のどちんこが下がっているから、すいみんじむこきゅう、かもしれない、一度病院で診てもらったらどうか」と若先生。睡眠事務呼吸? 「いえ、睡眠時無呼吸です」。
そんなことを言われたのは初めて。「来週、三島(大場)の病院に行くので、その時に詳しく訊いてみます」と言って歯医者を後にしたが、内心穏やかではない。伊豆に一人いて、気がついたら息をしていなかったなんてことになったらどうしよう。誰にも気づかれずに「コレデオシマイ」となるのだろうか。平塚「海楽人」の呑み会に行くまでの間、歩きながらずっとそのことを考えていた。(あ)
【写真】床屋の入り口にジャングルのように生えているコーヒーの木。私がもらい受けた苗の親である。こんなふうになるには、あと何年かかるのだろうか。
【タイムラプス】1月27日(金)6:35〜8:44の伊豆長岡の空。32秒。
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【歩数】15,495歩。