いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

雑巾の縫ふ針忙し台風来

台風16号の動きを気にしながらの出勤。
天気予報によると、未明に鹿児島に上陸した台風が伊豆半島にやって来るのは午後9時頃になるとのことで、仕事を終えて帰る6時半は、もしかしたら雨風が強くなり始めるあたりと予測した。それでバイクでの出勤をやめて歩くことにした。前に一度、バイクで橋を渡っているときに強い横風を食らい、橋の鉄骨にぶつかりそうになったことがあって、そのことが頭をよぎった。
歩きだからと、いつもより早く家を出るつもりでいたが、なんだかんだもたついて、家を出たのが11時47分。家から職場までは徒歩40分だから12時半のタイムカードにはぎりぎり間に合う計算。そこで、はたと気づいた。そうだ、職場のタイムカードの時計は4分早いんだった。
やや速歩で坂を下る。雨は小雨で風はない。これならバイクでもよかったな。とりあえずバイクで行って、帰る時によほど雨風が強かったら、職場にバイクを置いて歩いて帰るという手もあったな。
大門橋から狩野川の濁流を見下ろす。濁流は稚児ヶ淵と呼ばれる岩にぶつかり大きい渦をつくってはいるが、水嵩は思ったほど増えてはいない。せいぜい石ころの河原が見えなくなる程度で、濁流はキジの隠れる草むらまでは達していなかった。これから雨が強まれば水嵩はぐんと増し、たちまち草むらも濁流に飲み込まれてしまうのだろう。土手道のすぐそこまで膨らんだ狩野川を一度見てみたい気もするが、川沿いにお住まいの方々からすれば気が気でない。そんなことを思うこと自体、この罰当たりめとお叱りを受けそうである。
大門橋から200mほど田京駅方面に戻ったところに、昭和33年の狩野川台風で川が氾濫したときの水位を示す標識がある。そこには私の背丈の倍くらいの高さに線が刻まれていて、平屋を丸呑みする高さである。仕事に向かうときはいつもこの標識を目にするが、目にするたびに、こんな高さまで洪水が襲ってくるんだと、その自然の猛威に恐れをなすのである。
職場のタイムカードの時刻には、残り1分でぎりぎり間に合った。歩くこと38分。速歩をしたことで標準タイムを2分短縮することができた。タイムカードを押してスタッフルームの丸椅子に腰掛けたら、どっと汗が吹き出した。ハンカチでは間に合わない。しまった、タオルを持ってくればよかった。いつもならあやめ湯グッズをトートバッグに入れて出勤するのだが、今日20日はあやめ湯の定休日で、しかも台風。だから湯に寄らないですぐ帰ろうとタオルを用意していなかった。もちろん着替えのTシャツも用意していなかった。
スタッフの一人が、蒸しますねクーラーを点けましょうと言ってスイッチを入れたが、まるで涼しくならない。汗は止まらない。そのうちテーブルを囲んで一人、また一人と、女子会の話題に花を咲かせながら雑巾を縫い始めた。テーブルの上にはまだ縫われていない真新しいタオルが畳んで置いてある。ああこのタオルで汗を拭けたらなあと、汗ふきタオルを持ってこなかったことを恨めしく思っていると、台風関連で電話対応していたリーダーが、あたしも縫うわと輪に加わり、これでとうとう私以外の7人全員が雑巾縫いをすることになった。
一人だけ仲間はずれの居心地の悪さで、尻がむずむずしてきた。それで、外の雨風を見てくるといったふうにテーブルから離れて玄関の外へ出る。雨は少し強まったようだが風はまだそれほどでもない。玄関と離れのプレハブ教室とをつなぐ屋根の雨漏りはどんな具合かと見て時間を潰す。雨漏りはなし。そのうちぞろぞろと子どもたちが登所してきて(台風で全学年一斉繰り上げ下校)そのままおやつタイムに突入し、少しは気が休まったのだった。
写真は、田京駅のタクシー乗り場。

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いつも暇そうに駐車しているタクシーだが、今朝は雨で、多いときは5台あるタクシーが全て出払っていた。ベンチに座ってタクシーが戻ってくるのを待つ。20分ほど待ってようやく1台が戻ってきた。運転手さんに訊いたら、今日は朝早くから走りどおしとのことだった。(あ)

12,711歩。