いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

吾輩も涼まん猫の髭揺れる

写真は、あやめ湯駐車場の一段高い垣にでんと構えるでぶっちょ猫。

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ここに陣取る前は私の駐めたバイクの上に乗っていた。あやめ湯から出てきたらちゃっかりバイクに乗っていた。目と目が合って、はい、そのまま、そのままじっとしてぇ…と近寄ってカメラのシャッターを押そうとしたら、ひょいとバイクから飛び降りて、ひょいとここへ飛び登った。でぶの割には身のこなしが思いの外軽やかな奴。
では仕切り直しに澄まし顔を撮らしてもらおうかとカメラを向けたら、ぷいとそっぽを向かれてしまった。ぐっとレンズを顔に近づけても、まるでこっちに興味を示さない。岩合先生、こんなときはどうしたらいい?
家の庭を横切って糞を残していく猫は、どこかおどおどしたところがあって、私と目が合うと一瞬固まり、更にこつんと窓ガラスを叩くだけで一散に逃げ出すのが常だが、この猫は落ち着き払って、貫禄があって、余裕綽々で、偉そうである。カメラを向けても知らんぷりである。
首に鈴をつけているところをみるとどこかの飼い猫らしいが、一体どこの猫だろう。雰囲気からしてあやめ湯っぽい気がするけれど、足繁く通っている割にはしょっちゅう見るというわけでもないし、大体、あやめ湯で猫を飼っているなんて聞いたことがない。ありゃ、あやめ湯の猫じゃないな。
じゃあ、どこの猫だろう。以前、路地裏の寿司屋の車庫で猫を2匹見たことがあるが、そのうちの1匹かもしれない。うん、だんだんそんな気がしてきた。俺様がこの温泉場の顔役だと言わんばかりの面構えは、それはそれでなかなかの風格ではある。
写真奥の建物が「あづまや」旅館で、猫の後ろの駐車場はそこの旅館のもの、ではなくて、これは左手にちょこっと見える黄土色のホテルの駐車場。で、そこの女性従業員がホテル客を「あづまや」の真ん前に立って誘導するのです。今日も立っていたけれど、猫ちゃんが寄りかかっている黒い柱にちょうど隠れて見えない、というか、見えないように撮った。あやめ湯はこの黒い柱の右手にある。
それにしても、キッと見据えたこの猫の目線は、一体どこに向けられていたのだろう。もしこれが隣に棄て去られた空のペットボトルに向けられていたら、そこからある一つのストーリーが生まれていたかもしれない。いや、撮影したときはそんなことはちっとも考えていなかった。でも、この被写体にカメラを向けた段階で(女性従業員の姿を写さなかったことも含めて)、私の頭には瞬時にしてあるストーリーが生まれていたはずだ。撮った写真を後で見てそう思う。今はそれが文字に変換されないとしても。
あやめ湯(18:35〜19:24)2→5人。

タイムラプスは、6月10日(金)4:48〜7:25の伊豆長岡の空。

4,292歩。